2011年 12月 21日

宇野浩二「苦の世界」1/2

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 松井今朝子・短編集を半分読んだところで、宇野浩二「苦の世界」を
買ってしまったものだから、ついこっちを読みふける。どちらもタイプは
違うが名人芸。

 先日眺めた「別冊太陽」木村伊兵衛の写真に、赤門にもたれた(門の陰
から覗き見してるようにも見える)ハットにインヴァネス、ケイン姿の宇野
浩二の肖像があり、そのいかがわしさ・うさんくささに、いたく感激したが、
むかしの小説家はヤバそうでいい。最近の作家たちは、よくも悪くも真っ当に
社会人顔してる。某Sによれば、「ユニクロみたい」。
 宇野浩二はファストファッションからもテイラーメイドからも遠い、セルフ
メイド(或いはストリートボーン)顔だ、インテリであっても。

 森茉莉「贅沢貧乏」には、宇野浩二のかすかな木霊もあるのか? 
 「苦の世界」を読み始めてすぐ、漱石の「猫」はもちろん思い出したけれど、
滑稽小説としてすばらしい。

 三人の冴えない男たちが浅草・花屋敷に遊ぶ、「苦の世界 その二 
二 花屋敷にて」の冒頭を引用。

< 檻(おり)のなかに、一ぴきの、膃肭臍(おっとせい)に似て膃肭臍では
 ない、犬に似て犬でもむろんない、狸(たぬき)でも、狐(きつね)でも、狼
 (おおかみ)でも、ない、すなわち、獺(かわうそ)は、ほかの何物でもない
 獺なのだ、(なにをいうのだ、)その獺のすわっている前に、私たち三人は
 たちどまったのであった。>(p112)

 森茉莉の独特な読み点の入れ方は、もしやここらの影響はないでしょうか。
無責任な感想だけれど。

     (岩波文庫 2001年18刷 J)





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by byogakudo | 2011-12-21 13:17 | 読書ノート | Comments(0)


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