2012年 01月 19日

入江相政「城の中」/山田太一 編「浅草 土地の記憶」読了

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 「城の中」は昔読んだ筈だが、すっかり忘れていた。敗戦後は、
天皇のリベラルさ、皇室と国民との距離の近さを訴えていたけれど、
近頃はなんて変り様だろう。
 女性宮家を創るったって、維持費の元は税金だ。世界恐慌の怖れや
東日本大震災と原発事故の後始末に追われている現状で、どう予算を
絞り出すのだろう?
     (中公文庫 78初 J)

山田太一 編「浅草 土地の記憶」は、浅草への思いを手放しでノスタル
ジックに語るのではなく、しょうがねえなあと言いつつ愛する姿勢が
窺われる編集である。

 安藤鶴夫「敗戦直後」より引用する。
<[略]オペラ館に「葛飾情話」が上演された時、舞台稽古の夜の
 永井荷風を見たい一心から、私は夜ふけてオペラ館の一隅に席を
 占めた。
  あとにもさきにも、自作を上演される事の喜びを、舞台稽古と
 いう特殊な衆人の中で、あれほどまでに思い切りむき出しにして
 見せた作家を、私はみた事がない。
  その夜の偏奇館主人は、世にも幸福そのものであった。客席の若い
 女優達に一人一人サンドイッチを配って歩くかと思うと、立見席と
 立見席の柵と柵の間に両腕を突っ張っては、鶴のように美しい長身を、
 子供のようにぶらぶらさせてみたり、菅原明朗の指揮するオーケストラ
 ・ボックスの傍から、青年のような身軽さで舞台を通り抜けてゆくかと
 思うと、道具の飾ってないまる見えの楽屋で、踊り子達と声を立てて
 笑ったりしていたその夜の荷風散人を、私は生涯忘れぬであろう。私は
 ほとんど舞台の稽古をみる事なしに、一と夜ほしいままに、"永井荷風"
 を堪能した。>(p179)

     (岩波現代文庫 2000初 J)





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by byogakudo | 2012-01-19 13:30 | 読書ノート | Comments(0)


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