2012年 01月 28日

吉田健一「頭の洗濯」読了

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄 

 森茉莉のエッセイが熊本日々新聞だったかに連載されたことが
あると覚えているが(未確認)、こちらも1959年9月から11月に
かけ、熊本日々新聞連載のエッセイをまとめたものである。

 全国紙・地方紙を問わず、出版社の大小に関係なく、目のいい
編集者がいるかどうかが、作家に作品を書かせ、読者が実りを
味う幸運をもたらす。

 小説を書き出す以前のエッセイだが、吉田健一の変わらなさが
楽しい。要約しにくい文体なので、一部引用するのも難しいところが
あるけれど、あえて「暗君」から引用する。

< ヨーロッパの貴族は、自分が属している階級よりも下のものは
 人間ではないという考えから出発している。或は、それが人間ならば、
 自分はこれに更に何かを加えたものなのであつて、その何かは自分より
 下のものに對して生殺の権を持つことも許した。というのは、それは
 はつきりした権利だつたので、悪い人間は罰するというのと違い、気に
 入らない人間は踏みにじれるのが貴族だつたのである。そういう
 身分のものなのだから、或る種類のことはしないという道徳観も
 そこから生れて来る。>(p116~117)

 この前後に、東洋と西洋の貴族制度の違いが記されている。

 昔の読者層の水準って、今より高かったのだろうか?

     (文藝春秋新社 60再 J)





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by byogakudo | 2012-01-28 13:09 | 読書ノート | Comments(0)


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