猫額洞の日々

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2012年 02月 01日

ロバート・A・ハインライン「夏への扉」読了

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 鈴木創士氏の現代思潮新社コラムは、第23回「文学の泥棒に
ついて」
です。


 二、三度読みかけては入れなくて、読まずに死ぬことになりそう
だったロバート・A・ハインライン「夏への扉」を、今回は無事
読み終えた。読まずに死んでも、別に本人だけの問題だが、念を
残して死ぬよりいいだろう。

 猫好きで無自覚なロリコンでもある三十代のアメリカ白人技術者が、
冷凍睡眠とタイムマシーンを使って、実際は六十代になりながら三十代の
心身を保ち、二十代になった彼女と結婚する話である、と要約したら、
ファンから袋だたきに遭いそうだが、身も蓋もないダイジェストは得て
してこんなものだ。

 根っからの技術者気質で、家事や事務作業をなんとか人手を使わず、
機械に任せることはできないかと、いつも思案工夫している主人公だが、
主婦が皿洗いや掃除にかける手間を省かせて上げようという彼の親切心
自体、フェミニストから、家事を女の仕事にしていると攻撃されかねない。
 原作が発表された1957年なら、まだ許されただろうが。

 雪に埋もれた冬のさなか、どこかのドアが夏へ通じているのではないか
と、あらゆる扉を試さずにはいられない飼い猫(と主人公)の思いは、
よくわかる。

 観念としての夏は、わたしも好きだ。カトリーヌ・スパークが永遠に
十七歳であるような、マリー・ラフォレがギターをつま弾きながら歌う
夏の日のような、つかの間であり永遠でもある、そんな夏なら。

     (ハヤカワ文庫SF 1991年31刷 J)





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by byogakudo | 2012-02-01 13:40 | 読書ノート | Comments(0)


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