2012年 03月 29日
click to enlarge webを見ると評判が悪そうなので、そんなに愚作ならばと、 わざわざ日影丈吉「殺人者国会へ行く」に手を出してみた。 たんに物好きである。閑人だし。 「味覚幻想」中の『庶民性の問題』に、 <だが、エンターテインメントは庶民性の裏付なしには考えられない。 推理小説の問題でも、ブームのときに、たくさん出て、たくさん読まれた のは、このジャンルのファンが急に増えたわけではなく、ほかに適当な 読物がないから、みんなが読んだので、読者に特別な意識があったのでは なかろう。[中略] よけいなプロット、よけいな描写。ガストン・ルルウでさえ[注: 推理 小説ではなく]三文小説的といわれる。だが、カアの「三つの棺」の 怪奇伝説的要素や、クイーンの「Xの悲劇」の大都市の下町とドルリイ・ レーン的環境のパラドクサルな対比。そういうものなしに、ああいう作品が 充分な重量を持ちえただろうか。そして、この二作を推理小説でないとは 誰もいわないだろう。[中略] 読者は推理小説的に推理小説を読むのではなく、自分の好きなように 読んでいる。この自然な傾向を変えさせるほどの説得力は、誰にもない ・・・・・・といったことを、この頃、私はときどき考えさせられる。> (p256-257) これは、わたしのような読者のための言葉だ。推理を避けてるわけじゃ ないが、大抵のミステリにおいて、<よけいなプロット、よけいな描写>に 反応している。 4月5日に読了~
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by byogakudo
| 2012-03-29 13:40
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