2012年 04月 05日

J・G・バラード「殺す」+日影丈吉「殺人者国会へ行く」+安岡章太郎 「私の墨東綺譚」+近藤富枝「相聞」読了

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 文句ばっかり言ってるけれど、読んでない本を見つけると買ってしまう
のが、J・G・バラード。

 「殺す」は短くて、文体は枯淡の域に達したと言いたくなるくらいの
そっけなさ__ロンドン郊外の超高級住宅地で起きた大量殺人事件を
調査した精神科医の手記、だからレトリックも控えめ、淡々たる記述に
なるのは当然かもしれない__が、よかった。
 期待してなかったから、よかったと思うのだろうと言われそうだが、
それを含めても、抑えた筆致が、とても活きている。

 真綿で首を絞められるような圧迫感に耐えかね、とうとう内爆的な
大爆発=大量殺人に達するシーンの開放感! (長篇でないから可能
だったのかしら?)

 原題の"RUNNING WILD"が、まさにその通りのストーリーなので、
なんとかうまく訳せなかったかと残念だが、片仮名で「ラニング
ワイルド」では、近頃輸入されるアメリカ映画みたいだ。しょうがない、
あきらめよう。
 でも、「殺す」とは、ちょっと違うような・・・。

     (創元SF文庫 2011初 帯 J)

 日影丈吉「殺人者国会へ行く」は、予想より面白かった。70年代の
風俗がいろいろ出て来るし、名探偵は、凝った料理をつくる、子連れの
数理学者である。
     (KKベストブックス社 ビッグバードノベルス 76初 J)

 安岡章太郎「私の墨東綺譚」は、小説家らしい味わい方と、写真の
多さ、がいい。最近の文庫本の文字の大きさも、ありがたい。
     (新潮文庫 99初 帯 J)
 
 近藤富枝「相聞 文学者たちの愛の軌跡」、『水上心中』は太宰治の
話だが、1930年の、最初の心中事件の前夜に
< 十一月二十五日小館保等友人とホリウドで痛飲、帰途田辺あつみ
(シメ子の通称_筆者註)を伴って、中村貞次郎と逢った。>の、中村
貞次郎は、あの不良(で名のみ知る)・中村のことか。シンジロウではなく
テイジロウが正しいのか。
     (中公文庫 85初 J)

 [2014年03月30日訂正: 中村貞次郎は太宰治の中学時代の友人、
中村進治郎とは別人です。]

 鈴木創士氏のコラムは、第25回 地獄の形而上学





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by byogakudo | 2012-04-05 12:18 | 読書ノート | Comments(0)


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