2012年 05月 08日

押川春浪を読んでみる

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 ちくま文庫版「押川春浪集 明治探偵冒険小説集 3」の帯には、
<気宇広大、痛快無比の冒険小説>なる惹句が、大きな文字で
書かれている。
 怖いけれど頁を開いて少し読んでみると、なあんだ、黒岩涙香に
比べればはるかにライトな文体、恐れることなんぞ、ありゃあしない。

 第一編『銀山王』を半分強読んだ。翻案ではないようだが、明治の
エンタテインメントに多い、外国が舞台でありながら、主人公や登場
人物の名前が、読者がなじみやすいように日本人名である。
 (翻訳小説があまり売れないそうだから、いっそこの手を復活させ
たら・・・やっぱりだめかしら?)

 アラビア、アデンの社交界の花であるヒロインは、大きな宝石店の
後継者である「浪島 楓(なみしま かえで)嬢」、敵役の美女は「緑姫」。
 ふたりとも英国系で、ヒロインは両親がなく、「黒蛸(くろだこ)紳士」
という叔父がいる。名前でわかるように、叔父は悪役。
 「緑姫」の両親は、剣橋(ケンブリッジ)に学んだ「有洲老伯爵」と
「白縫(しらぬい)夫人」、みなさん、イケズな社交人である。

 ふたりの美女の間をふらふらする、頼りない男が、日本男児たる
「羽衣(はごろも)男爵」。名前通り、ハンサム。

 しかし読んでいると、美女たちの意地の張り合いが、ヨーロッパの
社交界というより、新橋辺りの芸者同士の意地の張り合いに感じられて
くるのは、日本人名であるせいなのか。

     (ちくま文庫 2005初 帯 J)





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by byogakudo | 2012-05-08 12:27 | 読書ノート | Comments(0)


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