2012年 05月 31日

舟橋聖一「風流抄」もう少し

e0030187_13254676.jpg






click to enlarge


 昭和27年(1952年)暮れから29年(1954年)秋にかけての
風俗レポートだ。

 なんとなく似た感じがあって、名のみ知る舟橋聖一・丹羽文雄デュオ
(?)の、少なくとも片方は1冊だけではあるが読んだことになる。
 どちらが長生きした作家だったかしら? 

 上記デュオにつられて、川口松太郎や北条誠なぞという、ほぼ名前
だけ知ってる作家を思い出していると、日本文学痴の我が身(別に
日本文学に限ったことではない)がよくわかる。これでも古本屋・・・。

 売春禁止法が制定される前夜に書かれているが、舟橋聖一の禁止法
反対論がまっとうだ。

< 売春法の趣旨は別としても、この法案が立法された場合、過去の
 歴史から云っても、取締りが置屋に甘く、個々の娼婦に辛いのは、
 我が官憲のいつに変らぬ伝統であろう。ある意味では、この法案の
 後押しをしているのは、コチコチの道徳者流より、彼ら置屋営業の
 連中の逆コースでもありうる。彼らは、今では娼婦たちから頒け前を
 貰っている形で、相変らずの搾取ではあっても、名目は食料とか間代
 とか云っているので肩身がせまい。売春法が出来れば、然るべき筋に
 附け届さえしておけば、いじめられるのは娼婦たちだと多寡を括り、
 昔の夢をもういちど見るつもりでいる不埒者もあるに違いない。>
(p48 原文の漢字・仮名遣いを新漢字・新仮名遣いに変更)

 善意で(?)始められたことが、意図を外れた結果しかもたらさない
のは、売春禁止法や原子力平和利用のように、日本のお家芸だろうか。
 それとも制度はすべて、いつの間にか進路変更する種子を宿している
のだろうか。

     (文藝春秋新社 1954初 函)





..... Ads by Excite ........
 
[PR]

by byogakudo | 2012-05-31 13:26 | 読書ノート | Comments(0)


<< 舟橋聖一「風流抄」/島田裕巳「...      エリザベス・ボウエン他「猫は跳... >>