2012年 06月 28日
click to enlarge 二人展を終えたSが、押さえこんでいた風邪をぶり返し、ダウンする のは解るけれど、わたしまで疲れて店が開けられなかったのは、蓄積 疲労というものか。危うし、古本屋。 今年も半年を過ぎ、振り返ると、あれこれとある。 1月は、まあ普通。2月に某事故、3月はその余波、4月後半に別の 某事故、5・21(EP-4)が終わった週末には法事が二日続く。そして 6月末の二人展。 静かな古本屋ライフにしては、いろいろ起きている。疲れが出るのも 当然か。おトシ頃なの。 巻末の都筑道夫との対談が面白かったので、横溝正史「髑髏検校」を 読んでみる。ドラキュラ伯爵は天草四郎、ヴァン・ヘルシング教授が 蘭学者・鳥居蘭渓と、うまく翻案された伝奇小説だ。 表題作より長篇の「神変稲妻車」も楽しい。3本の名笛をめぐる波瀾万丈 のストーリーが、ノンシャランな文体で語られる。 洞窟の女王(お姫様)の描写は、 < 金糸銀糸の刺繍(ししゅう)をした袿(うちぎ)をゾロリと長くうしろに引き ずり、立膝をしたひとつかみの腰には、緋の練絹袴(ねりぎぬばかま)が 燃えるよう。あるかなきかの縮れ毛も、後生大事に金元結(きんもとゆい) で結びあげ、皺だらけの顔にはほんのりと白粉(おしろい)の痕(あと)、唇 には口紅のあとさえ見えるいやらしさ。木乃伊の口紅とは全くこのことで あろう。>(p327) <[略]哀れ、小百合のからだはまっさか様、つぶての如く落下した__ら、 生命はむろんなかったのだが、その時不思議なことがそこに起ったのである。 ああ、不思議なこととはなんであろうか。>(p414) 小百合は日活アクションの松原智恵子の役どころが輻輳した存在。しょっちゅう、 囚われの身になる。助けられたかと思うと又、違う勢力に捕まる。 (講談社 大衆文学館文庫コレクション 1996初 J) 横溝正史の代表的な長篇ミステリを全く読んで来なかったが、この調子なら 大丈夫かもと思って、「横溝正史長篇全集1 本陣殺人事件」を選ぶ。 大丈夫。角川映画の予告編とは、てんで違う。(見ていないのだが)映画化 すると、暗い農村地帯を舞台にした土俗的怨念の物語になるだろうが、語り口は あくまでモダーン。探偵小説を論じながらの探偵小説だった。 金田一耕助がアメリカで麻薬中毒患者だったと、初めて知る。 (春陽文庫 1974初 J)
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by byogakudo
| 2012-06-28 13:49
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