2012年 07月 17日

ハインライン「太陽系帝国の危機」・島田裕巳「人はひとりで死ぬ」読了

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 映画「デーブ」では、大統領の代役と大統領夫人との恋愛がサブ
プロットになっているが、ハインライン「太陽系帝国の危機」は、
父と息子の物語が底流にある。これもまたハリウッド映画の基調では
あるけれど。

 ようやく代役を返上できそうになったとき、主人公は初めて大統領
本人に会う。演技に影響しそうだから、会うのを避けていた。
 似た顔立ちなので代役に抜擢されたとは言え、本物の大統領は、
彼に演技を叩き込んでくれた亡父にそっくり。

 息子は父、あるいは父の立場にある人をロールモデルに成長する。
主人公は責任感から代役を引受け続け、遂には演技と人格が限りなく
近づき、本物の大統領に片思いし続けていた秘書と結婚する。
 孤独なSF少年たちのためにハインラインは、父の地位と恋人を手に
する不埒な息子の物語を、意図してか無意識にか、忍ばせたのだろう。
     (創元推理文庫SF 1967年8版 J)

 島田裕巳「人はひとりで死ぬ 『無縁社会』を生きるために」は、
心中と聞いても異なる死体が二つ並ぶだけと考える奴には、ことさら
目新しいものはなかったが、オウム真理教事件との関わりで島田裕巳が
仕事を喪い、そのストレスで病に倒れ、無縁死しそうになった話で
思い出した。

 彼が大学を止めさせられたという報道に、
 「むかしは学問研究の自由を唱えて、同じ大学の教師たちが彼を
守ろうとした筈だけど、近頃はそうじゃないの?」と、Sと話した。

 いやしくも学者であると自称・他称してるなら、彼を好きであろうが
嫌いであろうが関係なく、彼の研究を評価するしないに関わりなく、
擁護するべきなのに、係り合いやとばっちりを恐れて、知らぬ振りを
していたのだろう。みっともない。
     (NHK出版新書 2011初 帯 J)





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by byogakudo | 2012-07-17 13:33 | 読書ノート | Comments(0)


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