猫額洞の日々

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2012年 07月 19日

川本三郎「マイ・バック・ページ」読了

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 60年代というより70年代初頭の自伝だが、川本三郎は文学的なひと
ではあっても、ジャーナリストには不向きの人柄だったのだろう。

 インタヴューした過激派青年が、意気を示すだけとしか思えない、
殺人事件を起す。それでも彼と接触した川本三郎は、ジャーナリスト
の基本的モラル、ニュースソースの秘匿という原則を貫こうとする。

 政治的に過激になり過ぎた「朝日ジャーナル」の編集部が刷新され、
前編集者たちからは第二組合視される雑誌になった「朝日ジャーナル」
に配属され、なんとかジャーナリストとしての仕事をしようとする、
やや無防備な青年の苦闘が後半に描かれる。
 そのときも悩み、後年に至っても結論や割り切りのできない問題を、
できる限りの誠実さで記述しようという姿勢である。

 ナイーヴとは、こういうときに用いられるべき言葉だろう。

 荷風は「花火」を書いたときに傍観者であることを選んだが、
川本三郎青年は当事者として事件に巻き込まれる。その後の小文字で
語る彼の文体は、ここが起点だろうか。

     (平凡社 2011年4刷 J)





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by byogakudo | 2012-07-19 16:14 | 読書ノート | Comments(0)


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