猫額洞の日々

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2012年 08月 14日

長谷川伸「生きている小説」読了

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 いろいろ為になる記事が出ている。

<[略]芸者の名は芸名という、それでなければお座敷名である。遊女の方は
 源氏名という、『源氏物語』に似せた名のつけ方をしているということだそうで、
 誰(た)が袖(そで)・有人(ありんど)・高窓・紫君(しくん)など、その例である。
 酌婦は通常世間の女の名をつかい、お竹のお松のといったが、遊女も酌婦も
 近いうちになくなるから、今後は名前の区別も、昔物語にだけ残るだろう。
 ちなみに明治年間のチャブ屋と異人屋の日本女の名は、メレーといいジェリー
 と名乗ったものである。
 [略]芸者が稼ぎの土地をかえるのは住み代えで、遊女の方は鞍替(くらがえ)
 である。また、関東では明治以来今でも、芸妓屋であって、上方風に置屋とは
 いわないから、組合も芸妓屋組合といっていた。>(p93)

 鴎外の弟、劇評家の三木竹二が、森田思軒と斎藤緑雨にむりやり俳句を
作らされる話がおかしい。
 批評家は必ずしも作者である必要はないと断っても、二人は承知しない。
生まれて初めての俳句作りをすることになる。

 森田思軒の「軒」を題材に、
 「春雨や軒端(のきば)づたいの朝帰り」
 斎藤緑雨の「緑」を使って、
 「春雨や緑(みどり)を叱るやり手部屋」
 緑は吉原の花魁についている禿(かむろ)の代表的な名前だそうであるが、
ここでそっと緑雨が三木竹二にいわく、
 「三木君、あのね、俳句はね、吉原ばかりでなくていいのだよ」(p139)__
すてきなオチがつく。

     (中公文庫 1990初 J)


 世間はお盆休み。川島商店街も軒並み閉まっていますが、当店の夏期休業は
来週、8月20日(月)〜25日(土)です。よろしくお願いいたします。





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by byogakudo | 2012-08-14 14:30 | 読書ノート | Comments(0)


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