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バブル経済下の1980年代後半に書かれた町歩き集だ。
関東大震災の後、雑音にめげない、優れた政治家と有能な役人(公僕)
たちとがプランを立て復興した東京は、第二次大戦でアメリカの空爆を
受ける。
かろうじて戦火を免れ、戦後も続いてきた町が、内乱や内戦が起きた
わけでもないのに、経済性の名の下に殺されようとしている、その時期の
町歩きである。視線は後ろを向かざるを得ない。
川本三郎はこの当時、40歳代だろう。身体的には強壮であったとしても、
少年期や青年期は意識の上での近過去、事実はもはや大過去である。
過去を持つようになったとき、ひとは幼い頃や若い時期の記憶を刺激する
町をあるいは街を歩き始め、自らの情緒的・感覚的持続性を確かめようと
するのだろうか。
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