猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2012年 08月 29日

原田芳雄「B級パラダイス」読了

e0030187_12522392.jpg









click to enlarge


 1980年代にいっとき流行った、わざわざ質の悪い紙を用いて、それが
お洒落とでも考えられたのかどうか知らないが、30年後の今、とても
よくヤケている。
 バブリーな時代に、あえて質素さで目立たせようというコンセプトで
使われた紙なのかな? 悪い趣味だと思う。素材上、本は永遠に最初の
状態を保つことは不可能だけれど、わざわざ10年もしないで劣化する
紙を選ぶセンスが、わたしにはわからない。

 原田芳雄といろいろな人たちとの対談が主で、合間に短いエッセイが
入っている。
 両見返しから数頁は紙質を変えて、夏文彦との対談が収められているが、
二段組みの真ん中に、太く黒く、「SACKING INTERVIEW」と文字が
横たわっている2頁は、上段の各行末が読み辛い。読者に読みとる努力を
求めているのだろうか。わからぬ、このセンス。

 色違い頁での、役者の演技についての発言から引用する。

 夏文彦が、俳優の精神と肉体の関係__デニーロが「レイジング・
ブル」のために何十キロも太ったり、パチーノが「クルージング」で
本当にゲイになったりするのに戸惑う、というのを受けて、

< それは嘘のつき方でしょう。蛇使いが普通の蛇を使って毒蛇だ
 と思わせる嘘のつき方みたいなことに、ちょっと拍手を送りたい
 みたいなことが自分の中にありますね。本当の毒蛇を使っちゃったらね、 
 拍手のしようがないんじゃないですかねえ。ロバート・デ・ニーロが
 二十キロ太ったってことも、そこら辺でちょっと疑問ですねえ。
 そこでのリアリティとか迫真みたいなことは、僕自身の中ではそれほど
 評価の対象にはなりませんねえ。> 

 実話に基づいてるから感動するとかなんとか言ってる、フィクション
とは何かを考えたことがなさそうな、近頃の一部(であろう。そう願い
たい。)の人々に聞かせたい。

     (KKベストセラーズ 1982初 J) 





..... Ads by Excite ........
 
[PR]

by byogakudo | 2012-08-29 12:52 | 読書ノート | Comments(0)


<< 渡辺英綱「新宿ゴールデン街」読...      旧河合医院見学会 12/08/26 >>