2012年 08月 30日

渡辺英綱「新宿ゴールデン街」読了/吉村昭「亭主の家出」ほぼ読了

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 作者・渡辺英綱は1971年、新宿ゴールデン街にバー「ナベサン」
を開く前は「週刊読書人」編集者であり、その頃からゴールデン街を
飲み歩いていた。

 タイトルから、ゴールデン街有名人・交友録みたような本を予想して
いたら、まったく違っていて、江戸時代に「新しい宿」ができてから
一度つぶされ、50余年後ふたたび「新宿」が許可され、風紀に問題
ありと常に非難されながら維新をくぐり抜け,明治大正昭和を色町と
して生き抜き、1980年代後半・バブル経済下の地上げで瀕死の状態に
至っている現状までが記録される。

 人々の記憶には在っても記録としては残されていない、夜ごと、
ゴールデン街に飲みに来ていた人々の死とともに、地上げで街の姿が
改変されるとともに、街の記憶も喪われてしまう、という危機感から
書かれた本だ。だから、細かく具体的記述になる。情緒的な交友録は
他の本にお任せ、の立場である。

 史料に当り、戦後の売春の歴史を知る女性が生きていればインタヴュー
を試み、店舗地図を描き、店舗リストを作る。
 文化人が集まることで有名になったゴールデン街の著名人リストは、
数頁に渡って、店別・ジャンル別にただ名前が列挙されるだけ。
 後世の誰かが、歴史史料として使ってくれたら、本望であろう。

     (晶文社 1987年2刷 J)

 吉村昭「亭主の家出」は、終り近くまで行って面倒くささに耐え
かね、後は端折って読み終える。

 職業尽し小説? 章毎に主人公が出会う男や女の職業と仕事内容が、
読者によく理解できるよう、コンパクトに説明され、かつストーリー
展開に絡むように作られている。
 吉村昭の愛読者になりそうもないわたしでも、この本が彼を代表する
作品でないことぐらい、わかる。手を抜かない丁寧な作風の作家、なの
だろうとは、わかる。だからといってファンになる訳には行かないし。

     (文春文庫 1978年2刷 J)





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by byogakudo | 2012-08-30 13:33 | 読書ノート | Comments(0)


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