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猫額洞の日々

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2012年 09月 12日

M・アンダーウッド「その犯罪は別」1/2+アルファ

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 逃避傾向、止むことなく、HPBの入った段ボール箱に手を出す。
(古いHPBでアップしてないのがまだ少しある。新旧とりまぜ、
全部上げきるのに、あとどれだけかかるだろう?)

 乾信一郎訳は、明るいミステリが多い(と思う)ので、これに
してみた。予想通りだ。(HPB 1968初)

 静かな住宅地で殺人事件が起り、隣家に住む老夫人が観察力のある
ところを見せるので、マープルものの一種かと思ったら、観察役だけの
ようである。いまのところ。
 
 名探偵役は、昇進して、スコットランドヤードからエルウィック管区へ
転勤してきた、チャド主任警部だ。外部からやってきて、エルウィック署
生え抜きの警部より上級であることで、署内の居心地が良くないが、あまり
気にせずに自分の仕事をしていこうとしている。
 また家庭的なひとなので、十代の長男の、転校に伴うストレスを心配
したり、家庭を任せっきりの妻に時間を見つけて電話したり、いい父親
であり夫である。

 物語は地味に展開するが、
<例のガンの恐怖が問題になった時、妻のケートが、紙巻きをやめて
パイプにしなさいと、彼におしつけた>(P23下段)パイプを、しょっちゅう、
どこかに置き忘れては探すギャグが入る。

 1966年の原作発表時では、パイプ煙草は無罪視されていたようだが、
21世紀現在、すべての喫煙者は準犯罪者である。煙草にかかる税金を
払っているからって(葉タバコ農家のためにはなり、彼らの票を当てに
する政治屋のためにもなっているだろうが)、そんなものでは将来の
医療費負担額の足しにならないし、労働可能な年齢で病に倒れられては、
家族だけでなく、お国にご迷惑をかけかねない、駄目な存在だという
ことに決まった。

 そういう駄目な奴があれこれ言う権利はないかもしれないが、でも、
いまの政治屋連中のひどさには、ひと言、言いたくもなる。
 鈴木創士氏がツィッターで石原伸晃の悪口を書いていらしたが、
あたしも二三日前に文句をつけようと思っていた。

 杉並区に引っ越して憂鬱なのは、いたるところで、あの猿顔の
(おさるさん、ごめんなさいね。あなたたちはいいの。猿顔のヒトが
いけないのです。)石原伸晃ポスターを目にすることだ。胃に悪い顔
である。

 父も父なら息子も、あれだ。日本の政治家のレヴェルが低いのは、
昔からだけれど、ことに小泉純一郎以来の劣化の激しさは凄まじい。

 小泉改革の内容を聞いて、甘く見ても2%しか浮かび上がれない政策
だと思ったが、なぜか大多数の支持を得た。みんな、自分は上にいる・
いられると、不可解にも信じたのか、下積みの捨て石でいいとマゾヒズム
に奔ったのか、見当もつかない。
 ジュニア・ブッシュの前で、エルヴィスの衣裳を着けて腰を振って
見せた小泉純一郎。右翼でなくっても、国辱ものだと思うが、あれは
戦後日本がどんなに被植民地状態に置かれているかを表すパフォーマンス
のつもり、だったのか。純一郎とその息子に意図と感想を聞いてみたい。

 次世代・小泉純一郎の橋下徹への熱狂もわからない。膠着状態に窒息
しそうなのはお互いさまだが、変えてくれると他人に期待する根性が
わからない。変えるったって、どこに向うか具体的なヴィジョンと過程が
明らかにされないのに支持するなんて。いまより更に悪くなる可能性だって
あるではないか。

 数年前の夏の夕方、暑さに耐えかね、中野坂上のファミリーレストラン
で涼んでいた。隣の席から、やや中年になりたての男二人、話し声が
聞えてくる。わたしたちの席との間には観葉植物の鉢があるだけ、話は
筒抜けだ。

 「4年辛抱すればいいんだろう。また自民党政権に戻るんだからさ、
それまで何もせずに過してりゃいいさ」

 役人ふたりの会話であった。総選挙はその次の年だったが、彼らの
読みの通り、民主党政権が誕生し、衰滅のいまを迎えている。
 この有能さを公的に発揮する気にはならないか。いやしくも私僕では
なく公僕として税金から給料をもらっているのなら。
 親の期待に背かず、遊びたい年頃にも誘惑を退け、お勉強して、やっと
勝ち得た役人の地位である。公僕としての振舞いなんて、ちゃんちゃら
おかしい、か。

 東大赤門前の喫茶店・ルオーでも、
 「あたしたち、総務省勤めだもん、楽勝よね!」
と、我が世の春ぶりを傍若無人に発揮する、若い女ふたりを見たっけ。





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by byogakudo | 2012-09-12 16:17 | 読書ノート | Comments(0)


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