2012年 09月 16日

M・アンダーウッド「その犯罪は別」/ハリイ・ケメルマン「土曜日ラビは空腹だった」読了

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 写真は、阿佐ヶ谷の温室画廊。

 「その犯罪は別」(HPB 1968初 VJ無)は、サスペンスフルな
クライマックスなぞ迎えることもなく、あっさりと犯人が自白して
解決する。
チャド主任警部の署内での居心地悪さはまだ続きそうだが、環境変化
になじめなかった長男は新しい学校に馴れてきたようだし、家庭は
落ちつきを取り戻したので、めでたしなエンディングであろう。
 それにしても、穏やか極まりない物語だ。どんなときでも、英国人は
落ちついて行動しようとする、ということか。

 美点と欠点は裏表の関係にある。悪い面が、イスラエル建国時の
イギリスの二枚舌か。なんてことを、次の「土曜日ラビは空腹だった」
(HPB 1971初 帯 VJ無)を読みながら思った訳ではない。昔からそう
感じていた。ドイツの問題をアラブに始末させるのは、ヨーロッパが
したたか、だからだろう。ダブルスタンダードは、いつでもどこでも
起きてることだが。

 アイルランド系カトリックの警察署長とラビの間で、比較宗教学
みたいな問答をする。(p89)
 ユダヤ教は信仰にではなく、日常の倫理や道徳・善行に力点を置く
宗教であり、キリスト教は信仰に重きを置く宗教だから、罪の意識から
アル中に奔りやすいと、ラビは語る。ほんとかな。

 ピルプル論法という論破のやり方は、ディベートに使える。使われて
いるのかしら。
 現実生活で、教えに適った行為であるかどうかを判断するとき、いかに
それが原則に沿っているかを、委曲を尽くして、ほとんど詭弁ではないかと
思われる表現で、説き伏せ、納得させる。(P17)

 日本の政治屋も、せめてそれくらいの言説的努力をしないだろうか。
机上の論理ほどの論理さえなく、ただ無神経な厚顔さで「原発大好き!」
「消費税大好き!」の一点張りではなくってさ。





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by byogakudo | 2012-09-16 12:29 | 読書ノート | Comments(0)


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