猫額洞の日々

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2012年 11月 17日

フィリップ・マクドナルド「鑢」もう少し

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 主人公、アントニイ・ルースヴェン・ゲスリン氏/大佐は、ことある
ごとにミステリ絡みの発言をする。作者に替わって、これはメタミステリ
ですよ、と言わんばかりである。

<「[略]この事件についてこれまでわかった少しばかりのことから
 考えると、こいつは現実よりも小説に似ているね、[以下略]」(p55)

< 「名人だって? このぼくが?」アントニイは声を立てて笑った。
 「ルコック向きの事件を解こうとしているシャーロック・ホームズ
 のような、そんな空しい気持ちなんだよ」>(p56)
 
 p69、p100、とミステリへの言及が続き、p135では新聞社の
女性秘書まで、
< 「[略]あたし、なんだか連続もののヒロインにでもなったみたいな
 気がするわ。[以下略]」>と発言する。

< 「わたしはデュパンでもあり、ルコックでもあるんですよ。フォー
 チュンであり、ホームズであり、ルルタビーユなんです。では、
 おやすみなさい」>(p145)と、人目惚れした女性に言ってのける
ゲスリン氏/大佐。

 p156、p182と言及あり。
 p191では、指紋のせいで逮捕された男性秘書も、
<「[注: 指紋を]とられたときにわかりましたよ。ぼくは探偵物をだいぶ
 読んでいるので、刑事がぼくに紙きれを渡して、これに見覚えはない
 かと訊いたとき、ぼくにはピンときたんですよ。[以下略]」>

 p204ではチェスタトンの言葉を引用し、p258では国会議員が、
<「[略]こんなところにぶっ坐ってホームズとワトスンの真似事をして
 いてもしようがない。[以下略]>

 p287端には<原注 R・A・フリーマン作『赤い拇指紋』>とある。

 最後までチェックしていないので、まだあるかもしれない。ミステリと
マザーグースとアリスへの言及が目立つミステリだ。

 もう犯人は特定された。あとは、登場人物たちのロマンスの行方を
読むことになるのだろう。
     (創元推理文庫 1983初 J)

 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄





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by byogakudo | 2012-11-17 14:11 | 読書ノート | Comments(0)


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