2013年 02月 16日

メアリイ・ケリイ「盗まれた意匠」読了

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 製陶会社の製品デザインが盗まれた。どう見ても犯人は内部の者だ。
私立探偵が調査を依頼される。
 家庭的な経営の会社なので、犯人を捜すにもできるだけ会社内部に
波風を立てないようにと、探偵は、新しい社史のライターという名目で
会社に乗り込むが、そこで殺人事件が起きる。
 私立探偵は、いちばん意匠泥棒の疑いが濃い、女性デザイナーに
恋するが、残念ながら彼は彼女の好みのタイプではない。

 あとがきにメアリイ・ケリイの<文体にはグレアム・グリーン的なものが
あり>とあるが、少しそれは感じる。
 社員たちとつき合い、じっくりと会社内部に浸透する探偵の目に映る
彼らの姿の描き方などに、グリーン的な視線が感じられるのだろう。

 人々はみな、それぞれの不幸を抱え、曇り空の下、生き延びようとする。
探偵が報われない恋をする女性デザイナーは、貧窮や、ひとりで老いる
ことの恐怖からアルコールに走り、出世主義の切れる嫌われ者の男は__
彼はなんとかしてアッパーミドル・クラスに達したいと願う。__労働者層の
家庭の娘とデートするのに、会社の連中がまず行かないレストランを選ぶ。

     (HPB 1964初)





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by byogakudo | 2013-02-16 13:55 | 読書ノート | Comments(0)


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