2013年 02月 23日
今週の新着欄です、よろしく。 新着欄 『第五章 ことばの履歴』の『四 語史辞典』は、言語感覚における 時代色について、である。 荷風が『十日の菊』で嘆いた、大正時代には聞きづらい、翻訳調の 田舎臭さを感じさせる<低気圧>や<暴風雨>等の言葉も今では定着 してしまったが、『語史辞典』的に記録しておきたい、という。 < 大正の小説や芝居を読むとき、えらくハイカラな言い回しをして いるのか、普通の世間並みのことばづかいをしているのか、昭和の われわれにもわかりにくくなったし、後世はますます実感が湧いて こないはずである。>(p156) ことば実感辞典、みたような試みであろう。 <奈良時代から無制限に近く外国語を輸入してきた日本語は、あまり 歯どめがなかったものか、じつにおおらかに新しいことばをとり入れる 習慣を持っている。それだけに、記録するほうも多忙をきわめることに なるのだが、このほうにはあまり関心がはらわれていない。>(p159) 若いときに自分の重箱の隅体質を認識していたら、日本文学科に入って、 この手のこまごました研究分野に専念する、というルートもあっただろうにと、 今頃思っても、もはや取り返しがつかない。 だいいち、あんなフワフワと漂流していたオネエチャンが、辛気くさい顔を して、毎日、分類カード作りに励む姿なんて、やはり起こり得なかったことだ。 (講談社学術文庫 1978初 J)
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by byogakudo
| 2013-02-23 21:06
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