2013年 03月 06日

中井英夫「黒鳥の旅もしくは幻想庭園」半分弱

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 中井英夫の小説は苦手だがエッセイ風の「黒鳥の旅もしくは幻想庭園」
をぱらぱら見ると、読めそうだ。

 1970年7月に書かれた『出口と入口について__言語空間の祭典』の
(注1)から引用する。

< 外国で日章旗のはためくのを見ると、ふつふつと胸に血潮がたぎって、
 日本人の自覚が蘇るというのは、三島由紀夫を初めとする多くの"愛国者"
 の言い分だが、今度の旅行[注: オーストラリア旅行]でもなんどかそんな
 チャンスがあって、写真にもとってきたけれど、あいにく何もたぎらなかった。
 美しいというなら、やはりホバートで見た、海からじかに立上がった太い虹の
 ほうがよっぽど美しかったし、地球への忠誠心という思いに誘われもした。
 日の丸と君が代に対して、二十五年経っても許せない思いを持つ人はなお多い
 だろうが、それはもう「見ざる」「聞かざる」になっていて、同時に「言わざる」
 ともなっている。沈黙したまま、その人々は墓に眠るだろう。その閉ざした唇
 から言葉を引き出すことは容易ではない。だが"愛国者"という冠を、どうでも
 人にかぶせたければ、それらの何もいわない"沈黙者"にこそ、それはふさわしい
 と思われる。>(p43)

 2020年度の東京オリンピック開催支持率が7割を超えたと報道されるが、
誰に聞いた結果だろう? わたしの周りにはいない。

 東日本大震災の被害者たちを忘れ、フクシマの原発事故処理問題を忘れ
(それどころか既にある原発の再稼働、新たな原発作りを虎視眈々と目論み)、
貧困と格差の問題を忘れ、ともかく当面の株価が上がれば、まるですべての
問題が解決したかのようにはしゃぐ・・・どこまで呆けまくれば気がすむのだ、
ニッポン?!

     (潮出版社 1974初 J)





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by byogakudo | 2013-03-06 13:38 | 読書ノート | Comments(0)


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