「エナジー対話・第十八号・関西__谷崎潤一郎にそって」を読み終え、
次は何にしようと店の本棚を覗き、当てずっぽうにウィリアム・ピアスン
「すばらしき罠」にしてみた。
フリーランス・ライターが雑誌に企画を持ちこむ。一ヶ月間、姿を消して
誰にも見つけられずにいられるか、というプランで、見つからなければ、
彼は原稿料に加えて賞金ももらう。
30日目に街に顔を出してみると、誰かがライターに化けて、偽物が
銀行勤めしていた。罠にかかったと悟ったライターは、独力で罠の全貌と
犯人探しを進める。
この題材で暗く書けばアイリッシュになるが、そうはならず、軽いハード
ボイルド風で物語られる。暴力には頼らない主人公で、ただ、やたらと
頭が回る。まるで作者からそっと耳打ちされてるみたいに。
1953年刊の原作だから、まあそんなものか。
緑色がこの頃の流行色だったのか、作者の好みか不明だが、出てくる
女の一人はグリーンのスカート、彼が恋する金髪の秘書もグリーンの
レインコートを着ている。
(HPB 1957初)
..... Ads by Excite ........