猫額洞の日々

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2013年 04月 07日

ジョイス・ポーター「ドーヴァー7 撲殺」読了

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 写真は、ある日の夕焼け。テレンス・スタンプ主演の「ブルー
(血と怒りの川)」で見たような空だった。


 ジョイス・ポーター「ドーヴァー」シリーズは、ミステリ史上最低の
迷探偵、ドーヴァー主任警部が主人公だ。

 太り過ぎで意地汚く不潔、目についた最初の男ないし女をすぐと
犯人視する無精ったらしい捜査(?)方法、身ぎれいで賢いマグレガー
部長刑事をこき使って彼の手柄を横取りするのがパターンだ。

 こんな最低の男に比べれば、大抵の登場人物が相対的に感じよく思われ
そうなものであるが、「ドーヴァー」シリーズではそうは行かない。
 でぶのドーヴァー警部は、すべてのひとにある人間的といえば人間的な
欠点、けちくささやいじましさの拡大鏡である。
 彼に会ったが最後、それまではとりつくろって、何とかごまかしてきた
筈の欠点が暴露される破目になる。これもパターン。

 努力家のマグレガー部長刑事は、殺人事件の起きた館の装飾品を見渡すとき、
<物知り顔の興味を誇示する>と、ちゃちなスノビスムを暴かれる。
 館の主人は、財政逼迫で観光客に館を公開しているが、殺人事件も観光資源と
して使おうという魂胆が露わにされる・・・。ジョイス・ポーターの皮肉な
観察眼を逃れられる人間は、まずいないだろう。
 そういう教訓的なミステリでもある。(多少ヨタです。)

     (HPB 1976初)





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by byogakudo | 2013-04-07 18:50 | 読書ノート | Comments(0)


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