猫額洞の日々

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2013年 04月 17日

吉田健一「東京の昔」/クリスチアナ・ブランド「招かれざる客たちのビュッフェ」それぞれ1/2

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 大昔、文庫本で読んだきりの「東京の昔」だが、こんなに本屋や
古本屋の話が出てきたっけ。帝大仏文科の古木君を銀座に誘うのは
覚えていたが、銀座・紀伊国屋と夜店の古本屋が出てくる。
 読んでいると、そうだったかと思うけれど、銀座の喫茶店の様子の
方が印象に残っていた。

 その古木君と近所のおでん屋で話すシーン、
<「ナポレオン戦争時代にブーローニュの港の近くで英国上陸の
 予行演習をやつてゐるフランスの兵隊の銃剣が日光を反射して
 ゐるのが英国から見えたさうですよ。」>
(p77 新漢字・正仮名遣いで引用)
__のブーローニュは、別に古木君のことを慮って、わざと間違えた
場面とは思えないから、たんにブルターニュの書き間違いだろうが、
文庫本ではどうなっていたかしら。編集者は気づかなかったのか?

 著者も編集者も校正者も気がつかなかった。編集者・校正者は
気づいたが、著者に遠慮して注意しなかった。著者はミスでは
ないのかと聞かれたけれど、大して重要な間違いではないし誰でも
気がつくようなミスだから放っておいた。(でも訂正しといた方が
いいと思うけれど。)
 実際はどれだろう? ミステリ好きがストレート・ノヴェルを読むと、
どうでもよさそうな細部に引っかかる。いや、ちまちまこせこせした
性格のミステリ好きなので、瑣末事に引っかかる。

 以前書いたような気がするが、文庫版・三島由紀夫「宴のあと」で
女将の私室が、たしか最初は六畳間だったのに、あとで出てくると
四畳半になっているのに気がつくのが、ちまちまミステリ好きの因果さ。
 
 読み返していないので記憶自体、間違ってる可能性があるけれど、
そうだったと仮定して推理!(けして謎解きせずにミステリを読んできた、
あたしが推理!?)すると、四畳半ではありきたり、女将の個性表現の一つ
にもなるから六畳間にしたのに、それを忘れて、あとでは一般的な四畳半
と書いてしまったではないか。

     (中央公論社 1974初 函)

 少し(読み手の)調子が出てきたクリスチアナ・ブランド。『ジェミニー・
クリケット事件』のひねりと迫力はすごいが、エリザベス・ボウエンの描く
狂気を思うと、ミステリの限界みたようなものを感じなくもない。
 だけど、暗くて怖い話。次の『スケープゴート』もそう。

     (創元推理文庫 2001年16版 帯 J)





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by byogakudo | 2013-04-17 14:57 | 読書ノート | Comments(0)


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