猫額洞の日々

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2013年 05月 12日

ダニエル・ファーソン「フランシス・ベイコン 肉塊の孤独」読了

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<5月9日の続き>

 やれやれ、やっと読み終えた。フランシス・ベイコン相関図か何かで
関係者をチェックしておいて前半を斜め読みし、『12 ジョージ・ダイアの
失われた魂』から、ゆっくり読めばよかった。

 著者は若いころブレイク前のベイコンと知り合い、セックス・アルコール・
アートが渾然一体したソーホーをうろつき廻る。
 前半は著者や他のゲイたちとフランシス・ベイコンとの、ゲイの間に
見られる愛憎関係、ベイコンと他のアーティストたちとの友情と嫉妬の
混じり合った関係ががこってり書かれていて、読んでいてとても疲れる。

 スターと取り巻きたちとの間に流れる、サドマゾ的関係。
 ウォーホルとファクトリーの人々の間にあったような、水谷氏とラリーズ・
メイトとの間にあったような、いくらでも例は上げられるが、恒星の軌道に
巻きこまれた星、スターダストや宇宙の塵のたどる運命など、どこにでも
ある、ありふれたといえばありふれた物語だ。
 否応なく引きこまれ、吸収され、排出され、出会わなければ辿った筈の
それぞれの軌道を見失う。
 フォロワーとしては、うらみごとの一つもいいたくなるだろう。

 あれは何というタイトルだったか、ウルトラ・ヴァイオレットの書いた
ウォーホルとの日々の話。こちらは男性の書いた本なので、あれほどの
怨念は来ないけれど、ゲイの嫉妬もやかましい。疲れる。

 著者がベイコンと疎遠だった時期にジョージ・ダイアの自殺事件は起きる。
ダニエル・ファーソンはポンピドウ美術館に居合わせた人々にインタヴュー
して、この章をまとめている。
 著者自身が巻きこまれていないので、タッチは冷静である。ベイコンに
対してもジョージ・ダイアに対しても。前半もこれぐらい落ち着いて書いて
もらいたかった。

 ベイコンの複雑なパーソナリティ。友人の苦境に手を差し伸べる寛大さと、
皮肉で意地悪な対応が同時存在する。大きさ複雑さがよく見て取れる。

 やや疲れたけれど、前半で投げ出さなくてよかった。

     (リブロポート 1995初 帯 J)





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by byogakudo | 2013-05-12 14:24 | 読書ノート | Comments(0)


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