猫額洞の日々

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2013年 05月 28日

島田一男「伊豆の踊り子殺人事件」読了

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 訳ありげなもう一冊、島田一男「伊豆の踊り子殺人事件」は、
「『伊豆の踊り子』ルート・連続殺人事件」とでも改題すれば、
内容を正しく伝えることになるだろう。

 何しろ川端康成も読んでなくて、「片腕」とか「眠れる美女」
くらいしか知らない。後者はネクロフィリアものとして、なかなか
結構だった。あ、「浅草紅団」も読んでいたか。
 神経症的だけでなく、初期の谷崎みたようなジャンク趣味がある
作家なら、もっと読みたくなるだろうけれど。

 ともかく、「伊豆の踊り子」をモチーフに書かれたミステリだ。
 学会が終わり、東京へ帰ろうとしていた科学警察研究所の部長
以下、各種専門技術者たちが、湯ヶ島温泉で殺人事件が起きたと
知らされる。
 途中下車して現地の警察に協力することになったが、連日のように
殺人事件が続き(めんどくさくなって、この殺人はいつ起きたっけ?
何人死んだっけ? と確認する気をなくした)、20年前のある事件が
糸を引いているとわかる。

 本格推理小説は、元々肌に合わなかったことを再確認して読み
終えた今、いちいちの殺人事件がどんなものであったか、どうか
わたしに尋ねないでもらいたい。興味がある方は、本文に当たって
ください。

 <全点書下ろし&文庫オリジナル>と帯に謳っているから、1994年に
書かれたミステリらしいが、被害者の一人は、ハイミナールを飲まされ、
絞殺されている。

< 「本当にハイミナールです。余りに時代はずれなので、あたしは採血
 して験(ため)してみましたが、ドイツ製のハイミナールを尚子はかなり
 服用していました。あれだけ飲んでいれば、首を絞められた時も、グッスリ
 眠っていたことでしょう。有賀技官の話では防衛創に生活反応があるそう
 ですが、尚子は間違いなく、完全にラリっていた筈です」>(p181)

 90年代にドイツ製のハイミナールが残っていたとして、効き目が薄れては
いなかったのだろうか。
< 「ハイミナールは日がたつと効能がなくなるかね?」
  「そんなことはないと思います。大量に飲めば昏睡(こんすい)状態になる
 でしょう。[以下略]」>(p183)__だそうです。ほんとかしら?

     (光文社文庫 1994初 帯 J)





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by byogakudo | 2013-05-28 12:49 | 読書ノート | Comments(0)


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