2013年 06月 18日

フレドリック・ブラウン「わが街、シカゴ」読了

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 大人になりかけたハイティーン(19歳)の少年の成長物語。
 息子は象徴的に父親を殺して大人になるものだが、この
ミステリ__ややゆるいけれどミステリだ。__の主人公は、
印刷工の父親が殺され、その犯人を捜す過程を経て大人になる。

 シカゴのような大きな街では、酔っぱらって家に戻る途中で
殺された事件などものの数にも入らないと、見なされがちだ。
 主人公は、子どものときに会ったきりのおじに父の死を知らせに
行き、おじから、一族の名にかけて犯人を追いつめよう、と
言われる。
 彼らは"ハンター"一族なのだから、と。

 大人になりかけの頃、周りの大人はうとましい存在だ。だが父親が
殺されて初めて、主人公、エド・ハンターは自分が父のことを何も
知らなかったのに気づく。
 後妻とその連れ子の娘、自分の息子(エドも父と同じ仕事場で
見習い工として働き出した)の一家を養うために毎日働いている、
ごく平凡な男と思っていた父親の、若い頃の冒険好きなエピソードを
初めて知ることになる。

 私的な捜査を進めるうちに、エドは初恋を知る。ギャングの情婦
である、年上の美女だ。彼女との会話のやり取り、ジミイ・ヌーンの
レコードをかけながら踊るシーンに、彼女の暗い、匂い立つような
うつくしさが感じられる。

 ミステリよりも教養小説の趣きの強い、しみじみとした物語だ。
 エドとおじは犯人を追いつめ、エドはおじの仕事場であるサーカスで
働こう、とするところで終わる。
 (そして、エド・ハンターとアムおじ、ふたりが活躍する「三人のこびと」
などが書かれる。)

     (HPB 1964初 VJ無)





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by byogakudo | 2013-06-18 14:59 | 読書ノート | Comments(0)


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