猫額洞の日々

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2013年 07月 02日

D・E・ウェストレイク「殺しあい」読了

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 ハメット・タイプかなと思いながら読んでいたら、大量虐殺の話
ではないか。驚いた。

 1960年頃のアメリカ、人口4万ほどの小さな街・ウインストンに、
<市政浄化連盟(CCG)>なる団体が現れ、大騒動が起きる。
 小さな不正は住民誰しも多少はやっているが、それなりにバランスの
取れた共同体に、ファナティックな調査員が乗り込んで来る。ダイアン・
アーバスの写真にキリスト教原理主義者たちを撮ったものがあったが、
あれを思い出させる男で、ともかく正義を貫く姿勢を崩さない。

 後ろ暗い面を持つ市の幹部蓮は浮き足立ち、ある者はCCGに擦り寄って
身の安全を図ろうとする。他の誰かを不正分子として差し出すことで、
自分は清潔であるとアピールするやり口だ。
 街は二分され、最後には内ゲバ状況が訪れる。

 50年代はパックス・アメリカの時代だったが、60年代以降、少数者
からの異議申立ての動きが盛んになる。公民権運動、ヴェトナム戦争に
反対する学生たち、ヒッピーたち、フェミニストやゲイの運動などだ。
 ヨタロー読みするに、D・E・ウェストレイク「殺しあい」は、これらの
潮流を無意識に予見して書かれたのではないだろうか。最後の内ゲバ場面
なぞは、二極分解しそうなアメリカの未来図を描いている、とSF的解釈
までできる。
 誤読は楽しいな。

     (HPB 1963初 VJ無)





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by byogakudo | 2013-07-02 13:03 | 読書ノート | Comments(0)


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