2013年 07月 09日

エリザベス・デイリイ「二巻の殺人」読了

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 原題「Murder in Volume 2」、1941年刊。1940年のニュー
ヨークの旧家を舞台に展開するミステリだ。
 アメリカはまだ参戦していないが第二次大戦が始まっていて、
新聞の紙面トップは戦争関連、次に、この名家殺人事件である。
(前に書いた気もするけれど、戦争の影響といったら、店頭から
チューインガムが少なくなったくらい、という表現は、どこで読んだ
のだったろう? チャンドラー? 思い出せない。何かのミステリで、
こんな表現をたしかに読んだ。)

 旧家には、100年前のミステリアスな事件が伝わっている。英国
から来た女性家庭教師が、ある日、バイロン詩集第2巻を手にして
庭の東屋に入り、二度と出てこなかった、という。
 100年後の現在、図書室から失われたのと同じバイロン詩集
第2巻を持った若い女性が、突然、館に現われる。
 外聞を憚った一族は、ポーランドからの亡命者ということにして
彼女を遇していたが、館の持主が殺され、若い女性も消え、一族の
ひとり、かつての大女優まで殺されてしまう。

 館の持主がちょうど古書熱を起こした時期だったので、古書狂の
しろうと名探偵に頼んで、警察沙汰を避け、新聞記事にならないよう、
不思議な若い女の出現の意図を探ろうとしていたのだが、ここに至って
隠し通せなくなった。

 <空にそびえているいくつもの塔が遠くに見えていなければ、ヨーロッパの
 どこかの小さな町通りと思えそう>(p43上段)な袋小路にある屋敷、
執事と女中はイギリス出身の夫婦等の、ブリティッシュ・スタンダードな
旧家である。
 ニューヨークは、イギリスを含むヨーロッパのアメリカ支店だ。物語も
クリスティ風味で、しろうと探偵と一族の若い娘との恋愛話が絡み合い
ながら進む。

 謎のバイロン詩集だが、館の図書目録によると、
< バイロン (ロード)
  ロード・バイロンの詩集、全十巻
  一八三〇年、フィラデルフィヤ、マイナー街三番地、R・W・
  ポメロイ発行、八つ折判本、天金茶布
  銅版口絵及び註釈付
  状態良好、印刷変色、装幀色あせる
   (第二巻紛失)>(p35下段〜p36上段)

 古書に詳しい名探偵・ヘンリー・ガーマジ(どう綴る?)氏に
言わせると、
< 「僕はこの小型版のバイロンは聞いたことがありませんでしたが、
  いずれにしても大して市場価値はなさそうですね」>とのこと。

 ガーマジ氏は自宅の電話では、
< 「ダーフィーさん?・・・・・・ああ、ありがとう。・・・・・・
  ちょっと、待って下さい、すぐ紙と鉛筆を持ってきますから・・・・・
  [以下略]」>(p206下段)
とノートしているが、ある男の住いでは、
< 「ハロルドかね? [以下略]」彼は封筒の裏を見ながら読み上げた。>
(p210下段)
しかし、いつ封筒の裏に書いたのか?

     (HPB 1955初 VJ無)





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by byogakudo | 2013-07-09 13:30 | 読書ノート | Comments(0)


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