2013年 07月 13日

フランシス・ディドロ「月あかりの殺人者」読了

e0030187_16315226.jpg












 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄  


 梅雨明け直後、いきなりな熱暑の夜々に読んだせいなのか、
読み手が惚けてきたせいなのか、毎晩、前夜読んだ箇所を
ひっくり返し、扉裏の登場人物表に幾度となく目を走らせ、
つっかえつっかえ、裏表紙の解説によれば
<遺産をめぐる殺人事件をしゃれた会話と軽快なタッチで
 描く快心作!>である筈のフレンチ・ミステリを読み終える。

 (しかし、この後読んだエリス・ピーターズ「死と陽気な女」は、
冒頭・第一章のうつくしさ・切なさに、大層感激して読んでいたの
だから、相性の問題なのかも。)

 弁護士と間違われた諸般代理人の青年・ドゥーブルブラン
(白葡萄酒二杯)氏が、下町オネエちゃん風の秘書と、同じく
下町アンちゃん風助手を使って、殺人事件を解決するのだが、
弁護士資格も私立探偵の資格もない、諸般代理人が事件を引き
受けたのはひとえに、頼んで来たお嬢さんへの義侠心から。
 つまり事務所を構えたアルセーヌ・ルパン型ヒーローである。

 因果ものみたいなストーリー展開だったような気がするだけで、
詳細はことごとく忘れた。もう少し面白がっていてもよさそうな
ものだが、付箋を見ると、ドゥーブルブランと部長刑事の

 <ふたりは肩をならべて、廊下をわたり、階段をおり、オルフェー
 ブル河岸に出た。同じような足なみでサン・ミシェル橋にでて、
 それを渡り、陰気で寒々としたユシェット町にはいりこんだ。>
(p40上段)
__これは、ユシェット町が出てきたのが嬉しくて紙を挟んだのだし、
もう一カ所は、シャリトという架空の絵描きについて絵の鑑定人に
電話で尋ねるシーンだ。

< 「シャリトについて、ごくうわっつらのことでもよろしいの
 ですが、教えてくださることが、おできでしょうか」
  「バスク生れの画家です。掌(たなごころ)派つまり、手のひらに
 絵具をべったりつけて描く一派の創始者です。奇妙なできあがりで、
 構成の妙味がでています。ランド地方の森のしたばえが得意で、
 中心に動いている人物を描いています」>(p121下段)
__作者によるモダーンアート批評であろう。

 エリオット・ポール「最後に見たパリ」のユシェット通り
(ユシェット町)で思い出した。思い出さないでいいのに。
 「最後に見たパリ」の帯に<堀江敏幸氏推薦>とあって、
その下に
<パリの小路は奥深い。
 時代の闇を飲み込むほどに。>
という二行がある。
 これは堀江敏幸による惹句ないしキャッチコピーと理解して
いいのかしら? それとも彼の名前は、たんに推薦者として上げ
られているだけで、下の二行とは無関係なのだろうか?
 もし堀江敏幸・文だとしたら、ここまで気の抜けたフレーズが
書けるのが、すごい。としか言いようがない。

     (HPB 1961初)





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2013-07-13 16:32 | 読書ノート | Comments(0)


<< エリス・ピーターズ「死と陽気な...      「猫ストーカーのうた」ミュージ... >>