2013年 08月 10日

小林信彦「怪人オヨヨ大統領」読了

e0030187_1343508.jpg












 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄  

 
 マルクス兄弟は写真で知っていても映画を見たことがなく、
小林信彦の喜劇史で面白いんだろうなと見当をつけるばかり
だったが、「怪人オヨヨ大統領」ではメイ探偵サム・
グルニヨン(グルーチョ)とその助手ハーポ、チコの三人組が
大活躍だ。

 三人のドタバタが、まるで映画を見ているみたいに生き生きと
スピーディに活写され、彼らの速度が言葉で描く速度に乗り移った
かのような走りっぷりと破天荒さで、これはとても好きなミステリだ。
 マルクス兄弟の映画を見ても、こんなに感動できるかしらと心配に
なるくらいの筆の速さとクレイジーさだ。(いつか見なくっちゃ。)

 速さは20世紀のテーマのひとつだが、たとえば50年前と今では
速さの基準や質が違っている。

 ひとが速さを実感できなくなるほどの速度基点なので、そこに
何かが存在していたことをかすかに覚えている程度の認識しか
できなくなった、今はそんなゾーンにあるのかしら。
 モノもコトも、空間に滞在できる時間が短縮されたようなゾーン。
長くアナログの時間で生きてきたので、そう感じるのだろう。
 いや、たんに世界を感じとるわたしという身体の持ち時間が少なく
なったので、そう感じるんじゃない?

     (角川文庫 1974初 J)






..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2013-08-10 13:44 | 読書ノート | Comments(0)


<< レックス・スタウト「黄金の蜘蛛」読了      ハワード・ブラウン「夜に消える」読了 >>