2013年 10月 15日

ギャビン・ライアル「もっとも危険なゲーム」読了

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 主人公は第二次大戦後、フィンランドに暮すイギリス人パイロット。
熊狩りをやりたがるアメリカ人の大金持ちをロシアとの国境近くに
運んだ後でチンピラに襲われたり、宝探しにつき合ってくれという
話が来たり、妙にわさわさした夏である。
 飛行機事故が二件も続いたので調べているときの、ある男の言葉で
彼の冬場の仕事がわかった。

<「彼は資源調査にやとわれているんです。冬は仕事がなくなるよう
 です。その間、飛行機は格納しておくのです」>(p156)
 夏の稼ぎで生き延びるフリーランサーだった。

 熊狩り中の兄を訪ねてきた妹に、現地へ連れていくよう頼まれる。
彼女が、女っ気と言えよう。
<彼女は、私のようなものに命令すれば必ず<イエス>と言うものと
 決めてかかっている。こちらは、彼女のような存在に<勝手にしろ>と
 言う経験はつんでいない。いきおい受身にならざるを得ない。>(p98)

 彼が事故やその他の怪しい動きを調べようとすることについて、彼女は、
<「あなたの動機はアーサー王と同じ種類のもののようね。[以下略]」>
(p185)と述べる。

 これもまた剣とマントの物語だが、タッチは皮肉で、ときどきコミカルだ。
彼が捕われてしまったとき、彼女が単身、救出に現れる。堂々とやって来て、
社交的にふるまう。ウィスキーを所望し、隙をついて瓶でケーニッヒという男の
頭を殴る。

<拳銃を握っているケーニッヒの手の甲をハイヒールの踵でふみつけて
 いるのが見えた。私は思わず目をふさいだ。当のケーニッヒがどうした
 かは知らない。夫人が拳銃を私の方へ蹴ってよこした。>(p171)

 主人公から<FBIと戦略空軍をよんでくるようなもの>(p168)と言われ、
<「誰が男女同権なんて言い出したんだ」>(p181)とぼやかれる女丈夫
だが、彼は、
 <「あなたはアメリカ海兵隊をひとまとめにしたくらいの勇気と決意を
 もっている。それがなかったら、男よりも金があなたをまったく救いようの
 ない人間にしていますよ」>(p192)と認めている。

 お互い、それぞれの倫理性(生き方)に忠実に生きる二人なので、惹かれ
合うことはあっても恋愛には至らない。
 ハードボイルドな剣とマントの物語を、恋愛部分に注目して読んでみた。

     (ハヤカワ文庫 1990年11刷 J)





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by byogakudo | 2013-10-15 16:57 | 読書ノート | Comments(0)


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