前の2冊は殺人の元プロ・現フリーランサーが主人公だった。今度は
元プロ殺人者(陸軍少佐)で現在は首相官邸詰めである。
軍人やスパイ組織の実動部隊がオフィシャルな殺人者であることは誰も
否定できないし、殺人に合法性に似たものを与える。スパイアクションを
読みながら無粋なことを考えさせる近頃がうっとうしい。
役所勤めの主人公なので、フリーランスでの行動とは別の問題が
生じる。フリーランサーは警察などの公的機関の援助が期待できない。
警察の目を避けて動かなければならない。
しかし役所の一員となると、自分の属する機構の援助は得られても、
役所間のセクショナリズムに邪魔される。セクション間の面子を立て合い、
情報隠しをかいくぐり、やっと自分の取るべき行動をとる。敵のいる場に
出向いて暴力で成果を得る、シンプルな行動原理をもつ軍人出身者と
しては、大変めんどくさい思いをする。
3冊続けて読んで、ギャビン・ライアル、これくらいでいいかしら?
「ちがった空」を見つけたら読んでみるかもしれない。
(HPB 1983初 帯 VJ無)
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