猫額洞の日々

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2013年 11月 12日

合間にガリコ「ハリスおばさんニューヨークへ行く」読了

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 なぜかバラードの合間にガリコ「ハリスおばさんニューヨークへ行く」を
入れた。第一作がヒットした小説や映画は、では続編も、ということになる。
たいていの場合、第一作を凌ぐ出来栄えとはならず、一作で止めておけば
よかったのに、と言われる。

 ガリコのハリスおばさんも、この呪われた伝統に背かず、あまり感心しない。
ロンドンで通い女中として働くハリスおばさんが一念発起して、ディオールの
ドレスを手に入れようとパリのメゾンに赴く冒険潭が第一作。
 今回は虐待されている隣の里子・ヘンリー少年を、彼の父親の住むアメリカに
連れて行ってやろうと決心して、あれこれトラブルはあれど、ハッピーエンドを
迎えるのだが、どうも気抜けしてるような読後感だ。

 船でニューヨークに行くとき知り合う、ロールスロイス一筋のお抱え運転手・
ベイズウォーター氏は、なかなか楽しい。
 ヘンリー少年の件でハリスおばさんと手紙のやり取りをするが、まずロールス
ロイスの話から始まり、半分以上が費やされる。

< [略]わたしもおかげさまで、ニューヨークからワシントンへくるまでの間、
 なんの故障にも出会いませんでした。これは要するに、わたしの選んだ
 ロールスロイスが、予想したごとく、どんな故障もおこさなかったということ
 であります。なにはともあれ、ご安心ください。 
  しかし、キャブレターは、イギリスの空気にあわせてつけられていますから、
 アメリカの空気は、車の健康上、あちらほどぴったりあわないのではないか
 と思います。ですから、あとで、その調節せねばなるまい、と考えている
 ところです。
  あなたも、おわかりになったら、きっとおもしろいと思われるでしょうが、
 エンジンのサーモスタットは、すこしもアメリカの大気の影響を受けずに、
 やはりセ氏七十八度前後の液温の最低温度をたもっています。
  アメリカの道路状態は、イギリスをくらべてはるかに優秀であることを
 みとめざるをえません。そこで、車の前部サスペンションと後部の水圧式
 緩衝(かんしょう)装置を、いくらかゆるめようかと思案しているところです。
 [以下略]>(p137~138)

     (講談社文庫 1980初 J)





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by byogakudo | 2013-11-12 14:13 | 読書ノート | Comments(0)


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