猫額洞の日々

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2013年 11月 20日

ハロルド・Q・マスル「にがみばしった殺人者」読了

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 ガードナーのペリイ・メイスンものと同じように、ハロルド・Q・
マスルの弁護士スカット・ジョーダンものでも敵役は固定している。
地方検事ローマンと、強烈度は劣るが殺人課のウィーニック部長
刑事だ。ことある毎にジョーダンを目の敵視する。

 今回は(今回も)ジョーダンが殺人者だと目される。その前に、
馴れ合いの離婚訴訟で証拠をねつ造したと糾弾されるし、その後
では偽札事件の犯人にもされる。

 全部言いがかりで不運極まりないジョーダン弁護士だが、でも大丈夫。
 警察には最初からウマが合った殺人課のノーラ警部、地検事務所には
法学部の友だちのポスティリー次席主任、自宅を担保にしてジョーダン
弁護士の保釈金を払ってくれた恩師のオリヴァ・ウェンデル・ロジャーズ、
有能な私立探偵、マックス・ターナー。以上、男性側の援助者。
 ジョーダン弁護士の事務所には恩師から引き継いだ有能な秘書の
キャシディ。そして事件に関わる美女たちは、みな、ジョーダンに恋する。
 これだけ協力者があれば、難局から脱出もできよう。

 今回の美女は仕事を持ち、料理も上手だ。論理的にジョーダンに結婚を
迫る。
 ジョーダンに言わせれば結婚は<男の知性を鈍らせ、判断力を曇らせ、
自由を奪う>(p173下段)行為だが、彼女は論破する。
 結婚によって男性は、
< 「人生に絶対必要な三つのもの。性的欲望、生涯の伴侶、それから
 子孫」>が得られると、諭す。

 二番目の生涯の伴侶については、
< 「[略]あなたは今は若いわよ、スカットさん。まだ魅力があって、
 そこいらじゅう女を漁って廻れるわよ。今から三十年たったら、どう
 なると思うの? 年をとって、皺がよって、よぼよぼになって、孤独で、
 淋しく、人に相手にされず、愛されずに暮して、誰も__」>
(p174上下段)と脅しをかける。

 女たちが生き生きしている点が、ペリイ・メイスンとスカット・ジョーダン
弁護士の違いのひとつだ。もっとも、ジョーダンは法廷シーンは、あまり
やらない。

     (HPB 1962初 VJ無)





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by byogakudo | 2013-11-20 13:47 | 読書ノート | Comments(0)


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