猫額洞の日々

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2013年 11月 23日

ジュリアン・シモンズ「犯罪の進行」半分強

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄 

 
 ニコラス・ブレイク「旅人の首」を放ったらかして、「二月三十一日」に
挫折したジュリアン・シモンズを読んでいる。新着欄には上げていても、
それらのミステリを全部読んでるはずはなく、たまたま手に取ったら、
こちらは面白そうだったので。
 (それに、こちらの方が登場人物が多いので、読み出したら進めるしか
ない。途中でまた「旅人の首」に戻ったりしたら、誰が誰だったか判らなく
なること必定。)

 「犯罪の進行」は、イギリスの田舎町の地方紙に勤める若い記者が
主人公だ。1960年刊行なので、地方都市にあっても、非行青少年問題が
生じる。

 大地主をきどる酒場の主人がガイ・フォークス祭の折、以前、酒場から
たたき出した非行青少年たちに襲われ、殺される。主人公ヒュー・ベネットは
たまたま居合せ、記事を書き、ロンドンの大手新聞にも配信する。
 大手からも記者が派遣され、主人公とともに取材に当たる。ロンドンからは
記者だけでなく、スコットランド・ヤードの警視や部長刑事も出動する。
 (ところで、警視と部長刑事とでは、どっちが偉いのだろう? 非常識ものは
ときどき困る。)

 ヒュー・ベネットの夢はもちろん、ロンドンの大手新聞の記者になることだ。
先輩記者からは、ニュース配信でお金が入るだけのことで、引き抜かれるとか
期待しちゃいけないよ、と注意されるけれど、やっぱり、中央への第一歩になれば
いいなと、空想の翼が羽ばたく。

 憧れの中央紙の記者が現れる。酒飲みだ。
<人間の偉大な残骸といおうか、美しい廃墟といおうか。美しさはもはや
 過去のものとなり、鼻は酒やけに赤く、角縁の眼鏡のうしろの目は赤く
 血走っているのである。みすぼらしい服は大きな骨格にはためき、レイン
 コートのボタンはとれ、大きな褐色の靴は壊滅寸前といった有様。>
(p59下段~p60上段)

 彼は若い二人の地方紙記者に尋ねる。
<「きみたちは、どうしてこんなところにくすぶってるの」>
 先輩の方は受け流すが、ヒューは反論する。
< 「地方にいちゃいけないんですか」
  「それは多分にことばの問題だね。地方にいると、新聞社で働くことは
 できるが、新聞記者にはなれない」>(p61下段~p62上段)

 スコットランド・ヤードの二人も、警視の方はニヒルな美男だ。
<年齢(とし)はもう五十がらみ、しかし外見はたいした美男子である。
 鉄灰色の波打つ髪は、まだすこしも薄くなっていない。彫りの深い顔、
 美しい鼻、ひきしまったくちびる。>(p44下段)
 ある事件を手がけて以来、昇進の道が閉ざされた男で、同僚と酒を
飲んだりはしても、けして狎れることのない人物。

 田舎の鼠と街の鼠の物語になるのかしら、という気もちょっとするけれど、
まだわからない。

 ヒュー・ベネットは最初、自分と同姓のアーノルド・ベネット「五つの町の
アンナ」を読んでいる。
<こせつかない率直さ、小気味のいいヒューマニズム、それに溢れんばかりの
 生命力など、どれもこれもうらやましい限りだった。これこそ、小説家としての
 長所が、同時にジャーナリストとしての長所でもあり得るという生きた証拠
 ではあるまいか。>(p13下段~p14上段)

 ヤードの警視が夜勤のベネットを訪ねてきたときは、モーム「人間の絆」を
読みながらうたたねしていた。(p73下段)

     (HPB 1993再 帯 VJ無)

(11月24日に続く~)





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by byogakudo | 2013-11-23 13:46 | 読書ノート | Comments(0)


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