人気ブログランキング | 話題のタグを見る

猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2013年 11月 28日

鈴木創士「文楽かんげき日誌 第5回 素人は入門などしない」/エド・マクベイン「警官嫌い」読了

鈴木創士「文楽かんげき日誌 第5回 素人は入門などしない」/エド・マクベイン「警官嫌い」読了_e0030187_20585870.jpg












 「彼女たちにはわからない」し、「俺たちに明日はない」ので、
「素人は入門などしない」。いいタイトルだ。本文も、もちろん
すてきです。

 ジュリアン・シモンズ「犯罪の進行」の合間にエド・マクベイン
「警官嫌い」を読んだ。カート・キャノン・シリーズは読んだ
ことがあるが、いや、あれは都筑道夫のパスティーシュだった
かもしれない、あまり馴染みのないエド・マクベインだ。

 発表時には斬新なプロローグだったであろう、映画的な始まり方
をする。カメラが大都会を上から見下ろし、急速にパンして室内に
入り、起き上がろうとしている男を捉える、そんなオープニングだ。
 映画「ウェストサイド物語」も同じような始まり方をしていたが、
1950年代から60年代に流行ったドキュメンタリ・タッチだ。小さな
物語の背後には、大きな物語が存在している。

 そこだけ興味がもてたけれど、あとは...いくらシリーズ化を見据えた
第一作だからって、87分署のメンバーを三人も殺しちゃうのは乱暴だし、
主人公の恋人を唖者に設定してあるのも、読者をびっくりさせようという
効果にしか思えないのは、原作発表(1956年)から歳月が経ち、こちらが
悪くスレてる時代に生きてるからかしら。
 もっと時間が経って古雅な(?)趣きが出てくる日まで、読むのを待てば
よかったのかな。

     (HPB 1959初 VJ無)





..... Ads by Excite ........

by byogakudo | 2013-11-28 14:08 | 読書ノート | Comments(0)


<< ニコラス・ブレイク「旅人の首」...      鈴木博美・山本一語「Ms.cr... >>