猫額洞の日々

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2014年 01月 08日

ピエール・ルイス「欲望のあいまいな対象」読了

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 つまりブニュエルが映画化したので、ジャケットには「欲望の
あいまいな対象」、本体には「私の体に悪魔がいる」と印刷されて
いる。でも、どっちかといえば、原題の「女とあやつり人形」の
方がいいのではないかしら。物語そのものを表してることだし。

 「女とあやつり人形」については森茉莉もマッコルラン「女騎士
エルザ」と共に好きな小説として挙げていたと記憶するが、ヒロイン、
コンチャはファム・ファタールというより、なんだか祟り神みたいにも
感じられる。
 すべての男に対してではなく、話者、ドン・マテオに対してだけ悪女
ぶりを極めるのは、畢竟、ドン・マテオがそれを望んでいるから。ファム・
ファタールは男の願望が生み出す存在だから、なんの不思議もないけれど。

 「欲望のあいまいな対象」はドン・マテオに沿った題名、「私の体に
悪魔がいる」はコンチャ側の、「女とあやつり人形」は物語そのものを
表す、ということか。

 いま読んで面白かったかといえば、あんまり。
 カルメンも煙草工場勤めだったと思うが、当時のタコ部屋的煙草工場の
様子を読んでいると、貧困層が富の再分配を求めて、ブルジョアに闘いを
挑む話、と読めなくもない。
 それなら、相手をひとりと限らず、全ブルジョアジーに拡大してもよさそう
だけれど、ファム・ファタールは個人の神話だから、そうは行かない、という
ことかしら。

     (角川文庫 1984年15版 映画化J)





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by byogakudo | 2014-01-08 12:58 | 読書ノート | Comments(0)


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