猫額洞の日々

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2014年 01月 19日

トマス・チャステイン「マンハッタンは闇に震える」読了

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 1970年代末のニューヨークで頻繁に小さな停電が起きる。電力会社の
原発増設に反対する男と、自動車の部品を盗んで高級車をでっち上げる
稼業の男たちとが組んで、名目は環境テロ、実際はニューヨーク市から
金を強請ろうとしている。

 犯人側と警察側、両方から物語が進む。主人公のマックス・カウフマン
次席警視/16分署署長は愛人と過ごした翌朝、ポケットベルを持って浴室に
行きシャワーを浴びる。携帯電話以前、ポケットベルの時代だ。いつもの
ように風俗小説的に読む。

 小さな停電だけでなく大停電も起こせることを証明するために、世界貿易
センタービルが狙われる。周りの高層ビルは明るいのに、ツインタワーだけ
黒いシルエットを見せる。

 資産家であるカウフマン次席警視は、サットン・プレイス・サウスにある
自宅アパートメントに帰るためのリムジンを頼んでから、徒歩で帰ることに
する。暑い夏の明るい夕方なので。

 42丁目の風俗描写が続く。血液銀行(血液1パイント当たり6ドル)から
出てきたスペイン系の若い男は、片手に
<いま一般に"ボックス"と呼ばれている巨大なステレオ式のカセット・ラジオを
 ぶら下げていた。ラジオからはディスコふうのラテン音楽が四分の一ブロック
 ぐらい先からでも聞こえるくらいのボリュームで流れていた。>(p165上段)

 成人映画館の前には若い売春婦、スリーカード・モンテに興じる連中、売人に
ヒモ、趣味のいい服装の年配の男が連れているのは、ほっそりした美少年、
バッグ・レイディに見せかけている囮捜査中の婦人警官、ストリート・ミュージ
シャン、大道商人、...アンダーグラウンドなニューヨーク描写が、p165から
p168まで続く。
 42丁目と三番街との交差点に、
<ニューヨークにたった一つ残った自動販売式飲食店(オートマット)>
(p168下段)とあるが、もうないだろう。見てみたかった。

 風俗小説として楽しいが、ミステリとしても、犯人側にも脇から一口乗せろ
と邪魔が入ったり、警察でも金を払って一網打尽に捉えようとする計画に
市当局からの許可が出なかったりと、なかなか楽しかった。

     (HPB 1980初 帯 VJ無)
 





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by byogakudo | 2014-01-19 19:06 | 読書ノート | Comments(0)


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