2014年 01月 28日

トマス・チャステイン「ダイヤル911」もう少し

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(~01月26日の続き)

 「パンドラの匣」(原作は1974年刊)のとき書き忘れていたが、
1970年代の警官たちは、みんな喫煙者みたいだ。警察署内は
紫煙でもうもうとしてるし、主人公のカウフマン次席警視も葉巻
とはいえ喫煙者である。クレイグ・ライスの名探偵・マローンは
安葉巻愛好家だが、万事におしゃれで格調高い(?)カウフマン
のことだ、銘柄は書いてないけれど、きっと高い葉巻を吸うだろう。
 彼の好む酒はシーヴァス・リーガルと何度も出てくるのに、葉巻の
名称は書かれていない。他のシリーズには書いてあるのかしら?

 また、彼の愛人はマダム・ロシャスを愛用。彼の妻は何をつけて
いるのだろう? 大きなお世話だが、妻と愛人、同じ香水でないと
バレやすいのにと、心配になる。
 そもそも、妻は愛人の存在を知ってるのかどうか。彼の視点と
愛人の視点からしか彼らの恋愛は書かれてないので、妻が彼らの
関係に気づいているのか、読者にはわからない。
 性的に合わないけれど、家庭は大事だから、その範囲内で夫と妻が
折り合って生きるのはわかる。しかし、妻だって女でしょ? 妻が愛人の
存在に気づかないでいることが可能だろうか? 可能だと、作者や主人公が
考えてるとしたら、それはあまりに暢気すぎて鈍感だろう。

 「昔の人の袖の香ぞする」と詠むのは男に決まっていて、女は思い出すと
しても、そのときのあたし、の形でしか思い出さない。そのときの男は捨象
されているから、カウフマン氏の妻にとって、カウフマンが「昔の男」の
位置にあるとすれば、彼女が彼らの関係について何も言わないのも当然か。

     (HPB 1978初 帯 VJ無) 

(01月29日へ続く〜)





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by byogakudo | 2014-01-28 14:01 | 読書ノート | Comments(0)


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