2014年 02月 04日

E・S・ガードナー「斧でもくらえ」読了

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 そういえばE・S・ガードナーの「検事封を切る」
(原作は1946年刊)を抛り出して久しい、と解って
いながら、ほぼ同じ頃(1944年)に書かれた「斧でも
くらえ」を持ち帰って読む。こちらはすいすい捗り、
一晩で読了。コミカルな設定のガードナーの方が
わたし向き、ということかもしれない。

 「クール&ラム探偵事務所」の片割れ、ドナルド・ラムが
マラリヤに罹り、(第二次大戦の)兵役から一時帰国する。
 事務所の女性タイピストは、戦前と変わりなくオフィスで
タイプを打っている。
<「ここに、こうしてるのが、戦争完遂への、あたしなりの
 貢献(こうけん)だから」>(p10下段~p11上段)

 でぶでがめついバーサ・クール探偵所所長の体重も変わり
なく、ただラムがいないせいか仕事に恵まれなくなった。
 そこへ依頼人が現れ、ドナルド・ラムがときどき体調を崩し
ながらも活躍して事件を解決するのだが、今回は「リムレイ・
ランデヴー」とシガレット・ガールが楽しい。

 「リムレイ・ランデヴー」はナイト・クラブの名前だが、
< ひところ、ランデヴーという思いつき(アイディア)が、疫病の
 ように、全国を風靡(ふうび)した。ナイトクラブは、この商売で、
 店のあそんでいる午後に、結構いいかせぎをしたし、ロマンスに
 飢えた三十代から四十代の女性にとっては、おあつらえむきの
 趣向だった。>
<__やがて、けちがつきはじめた。常連になって、とぐろを
 巻く連中は、店にとっては、ありがた迷惑な、かえって邪魔に
 なる種類の男たちだった。いつとはなしに、こうした店の本来の
 役割が、世間に知れわたるようになって、気のついたときには、
 どの店も、帳尻は、赤字だった。
  ほとんどの店が、ご婦人お一人のお客さまおことわり、テーブルを
 わたってあるくこと、おことわり、と、きびしい規則を、実施しだした。>
(p34上下段)
 ところが「リムレイ・ランデヴー」は、それほどやかましい規則も
なさそうに営業を続けている。これでも戦時下の物語だ。

 我が憧れの職業、シガレット・ガールは、
<二十三ぐらいの女の子だった。膝の上二インチか三インチという、
 ひどくみじかいスカートに、飾りのある白いエプロン、ブラウスには、
 幅のひろい、ヒラヒラする襟がつき、その胸(むな)もとは、V字型に、
 ふかく切れこんでいる。肩から、ひもで吊った、型どおりの盆には、
 葉巻と、紙巻きタバコと、ボンボンとがいろいろとりあわせて、のって
 いた。>(p35下段~p36上段)

 見た目は大変すてきだけれど、美貌と脚線美に加え、背筋と腰が
丈夫でなければできない仕事。列車の駅弁売りと同じなのに、印象が
ずいぶん違う。

     (HPB 1961初 VJ無)





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by byogakudo | 2014-02-04 14:04 | 読書ノート | Comments(0)


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