2014年 02月 09日

マイクル・コリンズ「ひきがえるの夜」読了

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(~2月6日の続き)

 アメリカ人の成功コンプレックスの根深さを描いたミステリかしら、
どんな分野でもトップに立たなければ、残りは敗者であると考える?

 俳優志望・女優志願が、演劇界の成功者を取り囲み、羨望や憧れ、
打算が渦まく世界の中で、女優志願の若い女性が失踪、死体で発見
される。
 彼女は冒頭に出てきて、すぐ死んでしまうが、探偵ダン・フォーチューン
の捜査に連れて彼女のライフ・ヒストリー(といっても22か23歳で死んで
いる)が明らかになる。

 田舎に育ち、人生を変えるために14歳で結婚した二児の母であり、農夫の
妻が、ニューヨークで成功しようと寝る間も惜しんで苦闘する。しかも夫と
子どもを呼び寄せて、家庭も維持しようと努力する。年上の農夫の夫は、
都会でどう働いたらよいか分からず、酒浸りである。

 読むだけでお腹いっぱいな人生だが、アメリカ人にはあまり不思議ではない
ようだ。
< 浮世を離れると平穏が見つかる、と禅宗の僧侶が教えてくれる。[中略]
 回転木馬から飛びおりろと言っているのだ。[中略]
 しかし、あの教義は西洋世界には属さぬものだろう。[中略]
 西洋人は、壁を見つめて平穏を見つけることなどできない。われわれの場合、
 回転木馬からおりたとしても、音楽が内側で鳴り続けるのだ。>(p123上下段)

 夢と幻滅。賭けを続ける登場人物がいれば、やっと納得して、成功でも
失敗でもない、ただの人生を続けようとする登場人物も現れる。

     (HPB 1981初 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2014-02-09 17:10 | 読書ノート | Comments(0)


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