2014年 02月 12日

ギャビン・ライアル「ちがった空」読了

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 ようやくギャビン・ライアルの長篇第一作を読む。プロペラ飛行機の話が
したくてたまらず書いたミステリだろうか。終わり近く、嵐を衝いて飛行機
(主人公の愛機ダコタではなく、初めて操縦するピアッジオ機、と書いた
ところで、ちがいも何もわからないが)を飛ばし、小さな島の砂浜に無事
着陸させるまでが、上下段31頁を費やして書かれている。
 クロフツの「列車の死」だったか、あれもメカに対して感情移入されて
いたのを思い出した。メカ愛不足なので、気持ちはわからなくもない
けれど共感には至らない。

 物語自体は、元インドの土侯の所有物だった宝石を求めての争いだ。

 第二次大戦後、インドとパキスタンに分かれたとき盗まれた宝石類を
取り戻そうとする土侯側には、ナチ・ドイツ系のボディガード、混血の
濃艶な美女(名目は秘書、実質は愛人)、そして主人公の親友がパイロット
として働いていたが、彼は失踪する。土侯の記事を書こうと、くっついて
廻るアメリカ娘は彼に惹かれていた。
 主人公は雇われて何でも輸送する、しがない稼ぎのパイロット、大手に
勤めたいと願う若い副操縦士がついている。
 メインは彼らだが、冒険小説なので(?)、宝石という獲物を探して
他にもいくつかの勢力、人々が群がる。

 死闘の末、ようやく(もちろん)主人公は生き延びる。まあ、ハッピーエンド
だけれど、失恋したアメリカ娘も、若い副操縦士も、物語の途中で消える。
 エンディングには不必要なふたりとは言え、作者に忘れられたような感じが
しないではない。
 それにあの美女は何だ? 主人公に向って、
< 「わたし、大金持ちのお友だちなの」いい捨てた。「__それだけなのよ、
 ぜいたくなペットなの。こういうペット、年とって醜くなったら、どういう
 ことになるのかしら?」>(p159下段)と泣きつく。
 もし映画で、妖艶な美女がそんな台詞を口にしたら、そこで映画は終わる。
悪女なら悪女らしくやせ我慢しなさい、と叱りたくなるが、これは小説だから、
リアリズム重視で、あり得る台詞なのか。

 余談だが、主人公と親友のパイロットが一本の煙草を吸い合う場面は、
こないだ鹿島茂の「昭和怪優伝」でホモ・ソーシャルという概念があると
知ったけれど、「ちがった空」の煙草の場合、どう見てもホモ・セクシュ
アルなラヴシーンと読んだ。

     (HPB 1967初 裸本)





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by byogakudo | 2014-02-12 13:09 | 読書ノート | Comments(0)


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