2014年 02月 23日

ローレンス・ブロック「泥棒は抽象画を描く」読了

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 ローレンス・ブロックに目をつけるのが遅かったので、2冊、
すでに売れていた。第一作「泥棒は選べない」と第四作「泥棒は
哲学で解決する」だ。後者は泥棒バーニイが古本屋になってからの
物語なので、新たに手に入れ、今は第一作も読もうかどうしようか
迷っている。古本屋バーニイ以前とはいえ、どんな話だか気になる。
 すっかり、わが隣人バーニイだ。

 「泥棒は抽象画を描く」は五作目。古本屋「バーネガット書店」を
経営するバーニイには、犬の美容院「プードル・ファクトリー」を
営むレズビアンの友人、キャロリンがいる。彼女は猫を二匹飼って
いるが、その一匹が盗まれた。しかも部屋の鍵が開けられた形跡
がない、密室誘拐事件である、おお!

 誘拐犯から脅迫の電話がかかってくる。猫を預かっている証拠に、
切られた猫のヒゲまで送られてくる。身代金として、美術館から
モンドリアンを盗んで来い、ですって。心友・キャロリンのために
バーニイは知恵を絞る。

 いつものように、のんきに軽口を叩き合いながら深みにはまる
バーニイの物語は、エンディングでどどっと謎解きが行われる。
今回のように錯綜した話だと、読み直した方がいいかしらと
思わせるが、眼目は謎解きにはない(と信じる)、細部に宿る。

 バーニイ・シリーズの眼目は、古本屋の日常描写を楽しんだり
__買い求めた詩集の一節を暗唱する女性客とのやりとりや、
図書館から盗んだ鱗翅目図鑑を買わないかと持ちかける客を
断ったり、お金持ちの家に査定に行きもするのだが、いつこんな
修行をしたのだろう?__、キャロリンの飼猫の名前を楽しんだり
するところにある。

 二匹の片割れ、誘拐されたビルマ猫の名前がアーチー・グッドウィン、
無事だったロシアン・ブルーがユービ(フルネームはユービクウィティ
ないしユービクウィタス)。第三作「泥棒は詩を口ずさむ」で二匹が
紹介されたときはフルネームではなかったと記憶するが、三作目で
「ネロ・ウルフ賞」をもらったから、ビルマ猫に名字が加わったのでは
なかろうか、と読者に考えさせたり。
 17~18カ所に紙片を挟んだが、一度に触れられる量の少なさよ。

 軽やかで気持ちがいいミステリ。いやなことばかり続く日本国から
一時逃避する。

     (HPB 1984 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2014-02-23 16:19 | 読書ノート | Comments(0)


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