2014年 02月 25日

ローレンス・ブロック「泥棒は哲学で解決する」読了

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 第五作「泥棒は抽象画を描く」から第四作に戻って、
「泥棒は哲学で解決する」である。バーニイが古本屋に
なってからの泥棒バーニイ・シリーズ中いちばん、人情話風
ではないかしら。

 人情話といっても、ちっとも湿らず軽快に、でもじわっと
来るのは、バーニイが老故買屋に寄せる親愛感がよく伝わって
くるからだろう。
 ダッハウから生還した老ユダヤ人で、飢えの体験が彼を
砂糖中毒に走らせ、常時、甘いペイストリーがないと行きて
行けなくなった、要塞のような高級集合住宅に住まう故買屋である。
バーニイは敬意を持って彼とつき合う。ブツを買い取ってもらうときも、
故買屋の好きなスピノザ「エティカ」コンパクト版__
<ブルーの仔牛革表紙の、一七〇七年にロンドンで印刷された英語版>
(p43)をプレゼントとして持参する。

 バーニイの古本屋は好事家向きの本屋なので、それっぽい客が来ると
カウンターの下に隠すが、ときどき、ペイパーバックを読むことがある。
ペイパーバックを売りにくる客があれば買いはするが店で売らず、専門店
に卸す。たまに、売る前に読む。

 第三作「泥棒は詩を口ずさむ」ではリチャード・スターク「悪党パーカー」、
本作では、
<ロバート・B・パーカーの、スペンサーという名の私立探偵が登場する
 やつ。スペンサーというのはファースト・ネイムがない分は、体で取り戻
 そうというタフな男で、何章かごとにボストンじゅうをジョギングしてまわっ
 たり、重量挙げをやったり、そのほか心臓発作かヘルニアになりそうな
 ことを片っ端からやってのける。私は読んでいるだけで疲れてしまった。>
(p7)そうな。

 物語に引き込まれて、あれこれ紙片を挟むことがいちばん少なかった
古本屋/泥棒バーニイだ。

     (ハヤカワ文庫 1995初 J)





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by byogakudo | 2014-02-25 16:56 | 読書ノート | Comments(0)


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