猫額洞の日々

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2014年 03月 06日

ジェイムズ・マンロー「死を売りつけた男」読了

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 リリラ(©鈴木創士「中島らも烈伝」)の最中でも翻訳はできる
ことを実証する伊東守男 訳「死を売りつけた男」だ。それはそれで
大変な技なのだが(普通、喋るのも、ましてや書くなんて不可能に
なる)、日本語にはなっていても、文体への意志や推敲への意欲は
全く見当たらない。

 こんなに雑な翻訳でなかったら、もしかして原作はアダム・
ダイメント「すてきな すてきな スパイ」(1969初 ハヤカワ・
ノヴェルズ)級の楽しく読める軽いスパイ・アクションでは
なかったかと思わなくもないのだが、なにせラフな日本語が
邪魔をする。

 「すてきな すてきな スパイ」はよかった。マイケル・ケイン
主演の「アルフィー」に通底する、怒れる若者の伝統みたいな
苦みと痛切さが感じられる、いかすスパイ小説だった。
 (ジュード・ロウ主演のリメイク版「アルフィー」は、ファッション
関係者がよってたかって、カッコいいでしょと言い合いながら作った
ような駄作。)

 主人公は、孤児として育ち、知恵と暴力と努力で、上のクラスに
食い込んだイギリス男だが、暴力的な過去に追いかけられ、逃走
する。
 たまたま彼を襲う敵は諜報部が狙う敵でもあったので、諜報部は
主人公を利用して敵を倒そうとする。彼が表に立てば諜報部には
無関係なので、トップの食えない男は、存分に彼を使う。皮肉で
人の悪いトップの描き方なぞ、まともな日本語で訳されていたら、
もっと楽しめた筈である。そう信じたい。

     (HPB 1967初 VJ無)





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by byogakudo | 2014-03-06 17:50 | 読書ノート | Comments(0)


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