2014年 03月 25日

ジョゼフ・ハンセン「誰もが怖れた男」もう少し

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(3月23日より続く)

 小さな地域で大きな権力をもっていた警察署長は、彼の死後も
まだ影響力を保つ。父を崇拝する息子も警官であり、父の無謬性を
信仰している。主人公から、犯人はゲイ活動家ではないという証拠を
示されても、吟味しようともせず、かえって主人公の調査の邪魔を
するだけだ。

 ゲイ公民権運動の方法で、二手に分かれてしまったこともネックに
なる。警察署長殺しの犯人とされた男は、ドラグ・クイーンのパレード
みたような派手な活動でアピールしようとする。彼の恋人は、それは
無駄だ、ストレイトを変えることはできないと諭したが、聞かなかった。

 この恋人の考え方は、もう一方の公民権運動家、数十年来のゲイ解放
運動指導者と近い。
<「ほんとうに必要だったのは、パレードやピケ、抗議活動などでは
 なかった。法律を変えることだったのだよ。[以下略]」>(p86下段)

 法律が変わったからといって、日常の差別意識がすぐに消えるもの
ではないが、それでも少しずつ変化は起きる。ヘイト・スピーチに
言論の自由の視点を持ち出すのは間違いで、人権侵害の観点から
法律を作ればよいのだ。

 ハードボイルドらしい文体で書かれたミステリだ。つまり、客観描写が
多くて、主人公を作者の代弁者にしない、作者と主人公との距離を
保ち続けている感じが強い。

     (HPB 1985初 帯 VJ無)

(3月27日に続く)





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by byogakudo | 2014-03-25 12:05 | 読書ノート | Comments(0)


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