猫額洞の日々

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2014年 04月 13日

ローレン・D・エスルマン「シュガータウン」読了

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 写真は「和朗フラット」への行き方を教えてくださった
麻布台の妖精(グノーム)のお家

(4月12日より続く)

 ローレン・D・エスルマン「シュガータウン」読了。脇役で
出てくるひとたちと、壊されてゆくデトロイトの街がいい。

 ジャームッシュ「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」
でも廃墟のデトロイトがうつくしかったが__タンジールを
観光地風に撮ったのは、デトロイトとの対比のために敢えて
そうしたのだろうか__、1984年原作刊行のこの本から
2012年撮影開始のジャームッシュ映画まで、デトロイトは
壊れ続けてきたのかしら。

 主人公の私立探偵が、最初に19年前の一家心中事件の現場に
調査に行くと、ここも再開発地域だが、当時ひとりだけ異なる
証言をした老人がさらに老いてまだ近所に住んでいる。
 ウクライナ出身の元ジャーナリストで、ほぼ寝たきりながら
意気軒昂である。訪ねたとき、ちょうど泥棒が入りかけていた。
<「強制執行まではてこでも動かんぞ。ガラスを割るくらいじゃ
 すまさんというなら、床をレンガだらけにされたところでしつこく
 ひろってやるわい。いずれにしろ、近々、何もかもゴミの山だ。
 わしを含めてな」
  「玄関の錠と裏口のドアの修理がすむまでは、だれかにいて
 もらったほうがいい。身内はいないんですか?」
  「十月革命このかたひとりきりよ」>(p45上段)

 そもそも冒頭から、老いてなお気力で生きているポーランド系
老婦人の登場だ。私立探偵に孫の行方を探してくれと頼みにきた
彼女は、アルミニウムの歩行器に身をあずけながら入ってくる。
 用件が終り、歩行器で来るのは大変だろうと探偵が気遣うと、
< 「頭上からの爆撃にびくびくしながら、街のまわり中に土嚢を
 積む手伝いをさせられたあとじゃ、そうそう力も出ませんことです
 わよ」>(p19下段)

 壊されてゆきながらもしぶといデトロイトと口の減らない老人たちは
同種の存在だろうか。

     (HPB 1986初 帯 VJ)





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by byogakudo | 2014-04-13 14:02 | 読書ノート | Comments(0)


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