2014年 04月 15日
今年に入ってから三隅研次「女系家族」を見たが、エンディングで 京マチ子がお墓参りする。細長くゆるやかなS字を描くお墓の築地塀が 印象的だった。 その築地塀に川島雄三「暖簾」で再会した。どちらも山崎豊子原作 だけれど、1960年ころ大阪を舞台に映画を撮るときの、著名な(?) ロケ地なのかしら? 「暖簾」ではオープニングに出てくる。丁稚 志願の少年(後の森繁久彌)が、老舗の大旦那と目をつけた中村 鴈治郎をつけまわし、丁稚奉公を叶えてもらうシーンである。 「浪花屋こんぶ店サーガ」というべき大河ドラマで、コメディ・タッチも 忘れない。 群衆シーンが数回ある。奉公人同士で親しくなり、互いに結婚を意識 していた乙羽信子とは「えびすさん」の大混雑の中で、象徴的に別離 するし、借金して建てた工場が水害に襲われるシーンの大混乱や、 森繁久彌が丁稚上がりの父とその次男の二役を演じるが、敗戦後の 闇市場面では当時のやけっぱちなエネルギーが伝わってくる。 父の代では、暖簾分けしてもらい成功した分家が、大水の被害を受け 没落する。立直したアプレな息子の株式会社本店の開業日では、今後を 象徴するかのように大風に見舞われる。記号学的だ。 森繁久彌は老いた父と戦後派息子を律義にきちっと演じ分け、気の強い おかみさんを演じる山田五十鈴も、負けじと白目を光らせる。中村鴈治郎は いつ見てもチャーミングだし、役者もスタッフも、映画を取りまくエネルギー が強烈だ。 映画の時代だったのだろうな。
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by byogakudo
| 2014-04-15 11:54
| 映画
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