猫額洞の日々

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2014年 04月 19日

ジョン・ラッツ「深夜回線の女」半分強

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 気がつけば近年の(80年代や90年代は、わたしには近年)ハード
ボイルド・ミステリを立て続けに読んでいる。そこでは様々な個性を
もつ私立探偵像が描かれる。ゲイもいれば黒人や片腕の男もいた。
 今度は白人で、たぶん一番ひ弱な私立探偵だ。

 元警官だが、惨殺現場や残酷さ・暴力のにおいがすると、いや、まだ
しなくても気配を感じただけで胃の具合が悪くなる。精神安定剤の
ように制酸剤を飲む。水なしで飲んでいるが、胃には大丈夫なのか?
 威圧的な依頼人を前にすると、同じく高圧的な元妻が扶助料の支払い
に訪ねてくると、彼は制酸剤に手を出す。充分に制酸剤中毒だ。飲んでも
気分が高揚するわけではないだろうが。

 彼の取り柄といえば、厖大な量の退屈な調査項目であっても、見つかる
まで念入りにチェックし続けられることと、いったん推理を始めたら納得が
行くまで考え続ける、忍耐強さであろう。脅されればすぐ怯えるけれど、
しつこく事件に張りつく質なので、この調子なら解決できるだろうと、いう
ところまで読んだ。

 昼間、電話会社の修理人や設置係が機器のテストをするためにだけ使用
される、いくつかの電話番号が、どういう経緯か一般の人々に漏れて、出会い
を求める連中が夜中に使っている。そこで知り合った男に双子の妹は殺された
と主張する依頼人がやって来る。ひ弱な私立探偵が自分で試してみると、
自殺願望の女性と回線が通じる。なんとか自殺を止めようと彼は必死になる。
 やがて粘り強い推理の結果、彼女の住まいまで突きとめ、心に傷を負った者
同士がつき合い始める、という恋愛小説の展開と、依頼された事件の展開とが
同時並行する。

     (HPB 1988初 帯 VJ無)

(4月20日に続く)





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by byogakudo | 2014-04-19 21:40 | 読書ノート | Comments(0)


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